2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22330234
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
野元 弘幸 首都大学東京, 人文科学研究科, 准教授 (70261873)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広瀬 健一郎 鹿児島純心女子大学, 国際人間学部, 准教授 (80352491)
前田 耕司 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (60219269)
廣瀬 隆人 宇都宮大学, 生涯学習教育研究センター, 教授 (30323322)
若園 雄志郎 北海道大学, アイヌ・先住民研究センター, 博士研究員 (90573668)
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Keywords | アイヌ民族 / 民族教育 / 先住民族 / 民族学校 / 民族大学 / 多民族教育 / 少数民族 / バイリンガル教育 |
Research Abstract |
2年目を迎えた本研究は、原理・制度、実践、比較の3グループがそれぞれのテーマで研究を行い、日本社会教育学会でのプロジェクト研究「アイヌ民族・先住民族をめぐる教育の課題」において、発表・報告を行い、共同研究グループ内での研究成果を共有し、広く学会員へも発信することができた。3グループの主な研究実績は以下の通りである。 原理・制度グループは、アイヌ民族の教育要求を教育システムに反映させるための仮称「アイヌ民族教育委員会制度」について、アイヌ民族の教育関係者とともに検討した。また、先住民族の自治権や教育権と具体的な教育制度のあり様について検討するために、フィンランドのサーミ民族の教育システム、南米ボリビアの先住民族政策と先住民族大学の設立について調査を行った。 実践グループは、北海道の博物館職員に対して、アイヌ民族学校の可能性についての聴き取り調査を行う一方、中国北京市にある中央民族大学での、民族大学の役割や意義についての聞き取り調査を行った。 それらをもとに、アイヌ民族学校を成立させるための諸条件、博物館を中心とした社会教育の役割や大学の果たす役割を検討した。 比較グループは、カナダとオーストラリアの先住民族の教育システムに関する調査を行った。カナダでは、先住民族による独立した教育委員会制度が確立しており、公選制で予算編成権を有するなど、先住民族の教育要求が具体的にどのように反映されるかを明らかにした。オーストラリアでは、先住民族に対する法学、医学分野での優先的資格取得、アファーマティブアクションにおいて、大学が果たす役割を明らかにする調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3グループの調査・研究はおおむね順調であるが、東日本大震災に関する緊急の研究課題への取り組みが求められ、論文による研究発表が少し遅れ気味である。
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Strategy for Future Research Activity |
収奪型の過去のアイヌ民族研究に対する反省にもとづき、本研究ではアイヌ民族との共同研究という姿勢を堅持してきた。北海道での研究会が多いなど、日程調整など厳しい面もあるが、引き続きこうした姿勢で臨み、具体的な提言やヴィジョンを示す研究となるように努める。また、現在、日本社会教育学会を中心に研究討議を行っているが、より広い学問領域でも研究課題として自覚されるよう、関連学会にも課題提起していきた。
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Research Products
(12 results)