2011 Fiscal Year Annual Research Report
欧米8カ国のインクルーシヴ教育における合理的配慮のあり方に関する研究
Project/Area Number |
22330257
|
Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
加瀬 進 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (60273538)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒川 智 茨城大学, 教育学部, 教授 (80201903)
真城 知己 千葉大学, 教育学部, 准教授 (00243345)
新井 英靖 茨城大学, 教育学部, 准教授 (30332547)
米田 宏樹 筑波大学, 人間総合科学研究科, 講師 (50292462)
星野 常夫 文教大学, 教育学部, 教授 (20137821)
|
Keywords | 欧米8ヶ国 / インクルーシヴ教育 / 合理的配慮 / 障害者差別禁止法 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本の学校教育において子どもの発達を最大にする合理的配慮のあり方に関する有用的かつ実効性のある知見を得るため、スウェーデン・ドイツ・イギリス・デンマーク・オーストラリア・アメリカ・フランス・ロシアそれぞれの学校におけるインクルーシヴ教育のありようと<子どもの発達を最大にする合理的配慮>の実態・成果・課題等を現地訪問調査により把握し、比較検証を行い、あり方とその必要条件・十分条件を整理することにある。第二年度は初年度に続き8力国への訪問調査を実施し、各国における取組状況をいっそう深く把握することができた。 初年度において「インクルーシヴ教育」概念とその制度的対応の多様性はすでに把握した。例えばロシア、フランスでは重度の障害児に対しては特別の学校・施設を用意しつつ、通常の学校においても障害児を受け入れる「インクルーシヴ学校」を実験的に展開し、オーストラリア、アメリカ、ドイツ、イギリス、デンマークにおいては可能な限り特別の学校を限定的に活用しつつ、通常学校における多様性への対応を工夫するというようにである。しかし、障害者権利条約を受けて、合理的配慮を伴う通常学校の対応能力を高めようとする点においては一致している。問題は子どもの「多様性」と各国の教育資源の対応可能能力の現実的な差異がある中で、「インクルーシヴ教育」をどう概念して国民的共通理解を得るかにある、という点が浮き彫りになってきた。さらにその差異をどこまで許容するかが「障害者差別禁止法」との関連で定まってくる構造も浮かび上がってきており、最終年度の集中的な検討課題として共有された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
8ヶ国それぞれの訪問調査、結果のまとめ、学会シンポジウム等による報告と共有がそれぞれ予定通り進んでいる。但し、障害者差別禁止法との関連は調査開始後にわかってきたことであり、この点については新規の課題として基礎的な調査研究を積み重ねている側面もある。以上より(1)当初の計画以上に進展している、とは言えないが、遅れてもいないため、標記のような自己評価とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度においても、初年度、二年度の成果をベースに欧米8ヶ国の訪問調査を継続する。なお、その際の視点は、上述したように子どもの「多様性」と各国の教育資源の対応可能能力の現実的な差異がある中で、「インクルーシヴ教育」をどう概念して国民的共通理解を得るか、その差異をどこまで許容するかが「障害者差別禁止法」との関連でどのように定まってきているかを共通の分析視角とする。また、最終年度も学会シンポジウム等で成果の公表・討論・共有を推進する。
|