2011 Fiscal Year Annual Research Report
学童期の障害児の言語能力査定と支援プログラムの作成
Project/Area Number |
22330259
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
高橋 登 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00188038)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 知靖 九州大学, 人間環境学研究科, 准教授 (30251614)
山本 利和 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (20200826)
井坂 行男 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (40314439)
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Keywords | 適応型言語能力検査 / ATLAN / 書取り / 聴覚障がい / 視覚障がい / 語彙能力 / 文法能力 / 音韻意識 |
Research Abstract |
本研究では次の3つの段階の研究を計画した。第1段階:言語能力を査定するための検査類の整備,第2段階:視覚障がい児・聴覚障がい児・読み書き障がい児の言語能力の査定,第3段階:第2段階の結果に基づく支援プログラムの策定。第1段階について本年度は,(1)昨年度作成したATLAN書取り検査について,小学校3~6年生計129名を対象に,ATLAN語彙検査,漢字検査,およびRey複雑図形を実施し,妥当性の検討をおこなった。また(2)ATLAN音韻意識検査を作成した。課題としてタッピング・押韻・抽出・逆唱・置き換え・拗音のタッピング・促音のタッピング・長音のタッピングの8領域につき,合計65課題を作成し,幼稚園年少児~小学校1年生計325名に実施した。その結果に基づき,各課題のパラメータ推定を行った。解答状況から音韻検査は1次元性が確保されること,タッピング~長音のタッピングの順に難易度は変わることが示された。第2段階に関しては次のことを行った。(1)視覚障がい児に実施可能なように,語彙検査からイラストを使用していない問題を抽出し,試行的に視覚障がい児用の語彙検査を作成した。これを視覚障がいの小学生3名に実施し,実施方法の適切性について検討を行った。(2)聴覚支援学校の小学校1年生~高校3年生まで合計209名に対し集団で語彙検査,漢字検査,文法検査,語用検査を実施した。その際にはATLANの特長を活かし,語彙・漢字検査に関しては問題プールの中から困難度の異なる問題を選択し,小学1・2年生版,3・4年生版,5・6年生版,中・高生版の問題を作成して実施した。その結果,いずれの検査においても定型発達の子ども達と比べると遅れが見られること,漢字に関しては比較的高い得点であるが,文法に特に大きな落ち込みが見られ,文法獲得への音声入力の重要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ATLLAN検査の整備に関しては,書取り検査・語彙検査とも当初計画通りにWebへの実装に向けデータの収集,分析を行っている。また,聴覚障がい児および視覚障がい児の言語能力についても協力者が得られ,順調にデータを収集することができ,現在分析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)ATLAN検査については,書取り・語彙検査についてWebに実装した上で,妥当性などの検討を行い,検査としての特徴を明らかにする。(2)ATLANのWebページのレイアウトを変更し,より使いやすいものとする。(3)視覚障がい児用検査に関しては,絵による説明に依存せず,問題を自動的に読み上げるバージョンを作成し,その実用性を検討する。(4)聴覚障がい児に関しては昨年度収集したデータの分析を続け,言語能力の特徴を明らかにし,支援プログラムの提案まで行いたい。
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Research Products
(1 results)