2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22340002
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
宮本 雅彦 筑波大学, 数理物質系, 教授 (30125356)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 頂点作用素代数 / 2次元共形場理論 / C2有限性 / フュージョン積 / C1有限性 / ムーンシャイン予想 / フレイム頂点作用素代数 / 軌道理論 |
Research Abstract |
頂点作用素代数はモンスター単純群に纏わる神秘を証明するために、ボーチャーズによって導入された無限次元の代数であるが、同時に、物理における2次元共形場理論を数学的、代数的に取り扱ったものと理解されている。重要な問題の一つは、良い性質を持つ新しい理論を構成することである。加群がすべて分類可能である等の良い性質(例えば、有理型)を持つと期待される構成法の一つに、既存の良い性質を持つ頂点作用素代数から有限自己同型を使って、その固定点全体として構成する方法(オービフォルド模型)がある。本研究の初期の段階で、C2有限性に着目し、オービフォルド模型がC2有限であれば、有理型が保たれることを証明している。それゆえ、本研究では、オービフォルド模型のC2有限性を証明することを主題としている。本年度の研究では自己同型群が2群であるような場合には、この結果が正しいことを得た。(3月の台湾で発表)。さらに、より弱い条件(C1有限性)でもフュージョン積が定義可能であることを示し、一般の巡回群自己同型の場合、C1有限性は成り立つことを示した。また、昨年度全く新しい頂点作用素代数が構成(予想リスト34番目)したが、本年度は、島倉氏、佐垣氏らにこの証明を紹介し、同様の構成で2個の新しい正則頂点作用素代数を構成してもらった。 一方、独立に研究している群において、可解群は常に非消滅元を持つことを証明した。非消滅元は非常に例外的な元であり、単純群においては例外的にしか存在していない。それが可解群において常に存在することを証明したので、注目された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
(理由) 有限型、特にC2有限性を満たすものの研究を目的としていたが、位数3の場合においては、それまでの構成とは全く異なる軌道理論による構成に成功し、新しいホロモルフィック頂点作用素代数を構成した。また、位数2に関しては、一般的な設定でのC2有限性の証明に成功した。これはこれまでの研究と合わせると、位数2の場合の軌道予想を証明したことになる。また、それ以外の位数に関しても少し弱いC1有限性を証明した。これはオービフォルド模型の次数付き加群の分類が完成したことを意味する。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の達成度で説明したように、目的以上の良い結果がC2有限条件の下で出てきたので、一般の位数に関しても、その結果を求める方向に進める。一方、弱い結果(C1有限性)の下でも色々な結果や性質を得てきたので、それを利用した軌道構成を考えることも意味がある。夏に日本で開催される国際研究集会を支援し、この方面の研究者を招待して、議論を深める。
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