2012 Fiscal Year Annual Research Report
数論的基本群の構造の解明にかかわる数論幾何の諸問題
Project/Area Number |
22340006
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
玉川 安騎男 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (00243105)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 代数曲線 / 被覆 / 基本群 / ガロア表現 / アーベル多様体 / 正標数 / 国際研究者交流 / 米国:仏国:英国:スペイン |
Research Abstract |
研究実施計画に記載の通り、海外研究協力者のCadoret氏(7月~9月)、Saidi氏(7月~9月)、Rasmussen氏(11月)の来訪を実現でき、代数曲線の被覆と基本群に関する数論幾何について、研究の目的を十分に果たすことができた。(特に、Rasmussen氏招へいは本補助金使用により実現した。)また、本補助金使用により、9月には英国Nottingham大のIvan Fesenko氏を招へいし、整数論・数論幾何における情報収集・研究討論を集中的に進めることができ、本研究計画遂行のために有意義だった。また、本補助金使用により、研究代表者のバルセロナ出張(5月)、ボルドー出張(6月)、東京出張(3月)をはじめ、何件かの国内出張を実現、研究計画遂行上意義ある研究交流、情報収集ができた。 具体的な研究実績としては、次のような成果をあげることができた。 1. Rasmussen氏とのアーベル多様体の有限性定理に関する共同研究では、「研究の目的」Aに関して、いくつかの技術的進歩を得、論文を完成・投稿した。 2. Cadoret氏との基本群の表現に関する共同研究では、「研究の目的」Bに関して、代数曲線の数論的基本群のl進表現についての普遍下界像存在問題において、リー環論的手法により一般的予想とその部分的解決を得、論文を完成・投稿した。また、一般線形群の有限部分群に関するJordan-Noriの定理の精密化を証明し、代数曲線の基本群の法l表現系に関する独立性等の結果を得、論文を完成・投稿した。この他、論文2編が出版、論文1編が掲載確定となった。 3. Saidi氏との正標数に関する共同研究では、「研究の目的」Cに関して、有限生成体上の代数曲線に対する双有理セクション予想について進歩があり、現在も研究進行中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3名の海外研究協力者との3つの共同研究を順調に進展させることができ、また、懸案だった成果の整理・発表(論文の執筆・投稿・出版)も進んだ。「研究の目的」A、B関していくつかの主として技術的な進歩を得たのに加えて、「研究の目的」Bに関して、一般線形群の有限部分群に関するJordan-Noriの定理の精密化を証明し、代数曲線の基本群の法l表現系に関する独立性等の結果を得たのは、大きな収穫だった。また、「研究の目的」Cに関し、有限生成体上の代数曲線に対する双有理セクション予想についての萌芽的結果が得られ、今後の更なる研究の進展を期待している。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画はおおむね順調に進展しており、基本的にはこのまま進めていけばよいと考えている。研究の目的に沿って新しい研究結果を得ることはもちろん、成果の整理・発表についても、引き続き力を入れたい。本研究計画は3名の海外研究協力者との3つの共同研究を中核としているが、今後も3つの共同研究のバランスに留意するとともに、3つの共同研究のいずれも、もとより数論的基本群を中心的対象とするものであることに立ち返り、それらの相互作用をいかすという視点に立って、数論的基本群の構造の解明を更に進めていきたい。
|
Research Products
(10 results)