2012 Fiscal Year Annual Research Report
進化するグレブナー基底の理論を戦略とする凸多面体を巡る未解決問題の探究
Project/Area Number |
22340008
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
日比 孝之 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (80181113)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | グレブナー基底 / トーリックイデアル / 有限半順序集合 / 順序凸多面体 / 鎖凸多面体 / 正則三角形分割 |
Research Abstract |
凸多面体の組合せ論の伝統的な話題である「凸多面体の面の数え上げ」及び「凸多面体の三角形分割の構造」が本基盤研究の研究対象である。これらの研究の推進には、純粋な組合せ論のテクニックに加え、代数的なテクニックが不可欠である。本基盤研究の目的は、これらの伝統的な話題に関する幾つかの未解決問題に挑戦する戦略の礎となるグレブナー基底の代数的基礎理論を構築することである。 平成24年度は、有限半順序集合 P に付随する順序凸多面体 O(P) と鎖凸多面体 C(P) に関する研究を、MIT の大学院生 Nan Li との共同研究として展開した。 懸案の問題は、順序凸多面体 O(P) と鎖凸多面体 C(P) が unimodular 同値になるための P に関する必要十分条件を探すことである。われわれは、順序凸多面体 O(P) の facet の個数は、鎖凸多面体 C(P) の facet の個数を越えないことに着目し、まず、O(P) の facet の個数が C(P) の facet の個数と一致するための条件を探した。一般に、unimodular 同値であれば、facet の個数は一致するから、その条件は、O(P) と C(P) が unimodular 同値となるための必要条件である。更に、組合せ数学的なテクニックを駆使することから、その条件が、unimodular 同値となるための十分条件であることを示し、懸案の問題を解決することに成功した。 更に、鎖凸多面体 C(P) のトーリック環が ASL(algebra with straightening laws)であることを示し、そのトーリックイデアルが二次のグレブナー基底を持つことを導き、その結果、C(P) が flag な正則三角形分割を持つことが判明した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
凸多面体の構造に関する論文、及び、トーリックイデアルのグレブナー基底に関する論文が順調に執筆されており、おおむね順調に進展していることが客観的に評価される。
|
Strategy for Future Research Activity |
凸多面体の膨らまし(dilated polytope)の正規性に関する議論を展開する。 具体的には、整凸多面体 P があったとき、qP, (q+1)P, (q+2)P, . . . がすべて正規となる最小の整数 q > 0 の計算についての研究を展開し、更に、qP, (q+1)P, (q+2)P, . . . のトーリックイデアルがすべて squarefree なグレブナー基底を持つような q > 0 が存在するか否かを探究する。
|
Research Products
(4 results)