2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22340011
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
泉屋 周一 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (80127422)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 剛郎 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (50176161)
寺尾 宏明 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (90119058)
利根川 吉廣 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (80296748)
大本 亨 北海道大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (20264400)
|
Keywords | 大域的性質 / ミンコフスキー時空 / 空間的部分多様体 / 余次元 / 特異点 / 事象の地平線 / 宇宙論 |
Research Abstract |
平成22年度までの研究成果として得られたミンコフスキー時空内の余次元2空間的部分多様体の不変量とその幾何学的意味付けにたいして、さらに余次元が高い空間的部分多様体に特異点論を応用することにより、幾何学的不変量を導き、その幾何学的性質について研究を推進してきたが、引き続き平成23年度もその方針で本研究課題を推進した。特に23年度には、それまでに考えられた枠組みの下で、得られた幾何学的不変量の大域的性質について研究した。22年度までに得られた、光錐的曲率に対して、余次元2の場合には、ガウス・ボンネ型の積分公式が成り立つことが以前の代表者の研究により知られていたが、平成23年度には、その絶対値の積分に対するチャーン・ラーショフ型積分不等式を示した。特に、この不等式に対して等式が成立する場合の空間的部分多様体の特徴付けとして、光的タイト空間的部分多様体という概念を新たに導入して、空間的部分多様体が球面の像となる場合にその特徴付けをあたえた。その結果、ユークリッド空間内のタイト部分多様体と双曲空間内のホロタイト部分多様体の類似点や相違点を明らかにすることができた。さらに、その付属物として、一般余次元の空間的部分多様体に沿った光的超曲面の研究するための枠組みを構成し、その特異点の幾何学的意味をルジャンドル特異点論を応用することにより明らかにした。この光的超極曲面は様々な事象の地平線の形状を記述するもので、ブラックホール物理学や宇宙論において重要な役割をになうものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度までの顕著な成果として、ミンコフスキー時空内の空間的部分多様体の絶対全曲率の評価式であるチャーン・ラーショフ型不等式の証明を与えた。その結果、等式が成り立つ場合として、光的タイト部分多様体という概念を新たに導入した。この光的タイト部分多様体をさらに詳しく研究することが今後の課題である。また、それに付随して、余次元が高い場合の空間的部分多様体に沿った光的超曲面の研究も推進された。このように、新たな概念や研究対象が本研究を通して発見されており、今後の本研究課題の進展が期待できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後もさらに、理論物理学と関連したものや映像理論と関連した分野を中心に特異点論の応用を試みて行く。特にこの2年間で蓄積した方法と知識を用いてさらに未開拓な分野への応用を試みることとする。昨年度までに得られた、問題点や新たな現象にたいして、研究分担者の役割分担に沿って、具体的な目標をたてて、成立する諸定理などの目標を決め具体的に証明を試みる。さらに昨年度までと同様に目標となる幾何学的現象や偏微分方程式等の種類を定めることも平行して行う。また、現分担者では解決不可能と思われる問題が発生した場合は、来年度以降新たな分担者を加えて、問題を解決する。
|
Research Products
(5 results)