2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22340014
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩瀬 則夫 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (60213287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角 俊雄 九州大学, 大学院・芸術工学研究院, 准教授 (50258513)
酒井 道宏 久留米工業高等専門学校, 准教授 (90353276)
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Keywords | 位相的複雑さ / ファイバーワイズ理論 / LSカテゴリ / 単位位相的複雑さ / コーン長 / カテゴリカル列 / 加群重み / ホップ不変量 |
Research Abstract |
酒井氏との共同研究での位相的複雑さに対してLS理論との類比を行う過程で、ファイバーワイズ理論との類似に気がついた。この類比を具体的に表記することで、実際に、位相的複雑さがある意味でファイバーワイズなLS理論と見なしうることが証明できた。ここで「ある意味で」としたのは、Jamesらによって与えられた本来のファイバーワイズなLSの猫より形式上では弱い形の定義により与えられることが分かったからである。この弱い形の定義は、実際には、適当な一般的な条件の下ではこの弱い定義がJamesによる本来のものと同値となることが示されると発表した。この論文は、位相的複雑さの上からの評価を与えるファイバーワイズな意味でのコーン長やカテゴリカル列などの不変量や、下からの強力な不変量である加群重み、あるいはこれらの計算に使用されるホップ不変量を与えることから、発表直後から引用されるなどの反響を呼ぶものであったが、弱い形のファイバーワイズなLSの猫と本来のJamesによるファイバーワイズなLSの猫との同値性の証明にはギャップが存在することが指摘された。これに対しては、多くの特殊な状況で両者が等しいことを証明することに成功したが、一般的な形では証明を持たない「予想」であるということになった。ところが、逆に、本来のJamesによるファイバーワイズなLSの猫に対応する強い意味の位相的複雑さが定義され、これを単位位相的複雑さ(monoidaltopologicalcomplexity)と名付けた。この新しい位相的複雑さは、通常の位相的複雑さに対して「初期状態と目的状態が等しいときにはロボットは動かない」という当然期待されるべき性質のみを付加したものであり、その為一般にはホモトピー不変量ではないのであるが、むしろ理論的には扱いやすいという注目すべき性質を持つ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究により、新しい位相的複雑さとなる「単位位相的複雑さ」を提唱することとなり、これに対する代数的ないしホモトピー論的な性質を整備し、さらにこれに対する上からと下からの不変量を与えた。これにより、(単位)位相的複雑さのよりタイトな特徴づけあるいは理論的な取り扱いが可能になったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で提唱することとなった新しい位相的複雑さである「単位位相的複雑さ」に対して、その計算はやはり非常に複雑であるが、ここに与えた定式化を有理ホモトピー論を用いて有理空間に対して計算をすることは可能になるのではないかと期待している。その為に有理ホモトピー論の盛んなラテン系ヨーロッパの研究者との連携が必要二なると考えている。ただし、有理ホモトピー論においてさえ、その計算量は非常に大きくなることが予測される為、この計算の可能性についても予断は許されないと考えざるを得ない。
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Research Products
(20 results)