2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22340015
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
三松 佳彦 中央大学, 理工学部, 教授 (70190725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三好 重明 中央大学, 理工学部, 教授 (60166212)
高倉 樹 中央大学, 理工学部, 准教授 (30268974)
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Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2014-03-31
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Keywords | ミルナー・ファイブレーション / 国際研究者交流(ベルリン) / 余次元1葉層 / 接触構造 / シンプレクティック構造 / アノソフ流・葉層 / 葉向コホモロジー / 漸近的絡み目数 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は、大別して二つの方向にまとめられる。第一は葉向シンプレクティック葉層、、第二は3次元多様体上の余次元1葉層の流体力学にかかわるものである。 ローソン葉層を含め、複素3変数の単純楕円特異点のミルナー・ファイブレーションから構成される5次元球面上の余次元1葉層構造に葉向シンプレクティック構造が存在することを、前年度までに構成的に証明した。本年度はこの研究を更に推し進め、構成法をより一般的な枠組みとして整備することにより、開本分解の下での接触構造の葉層構造への収束を記述する理論の特例として定式化された。更にこれにより、3変数の尖点特異点の場合にも同様の構造が存在することが分かった。3変数特異点での同様の可能性は他にはほぼ無いと思われるので、この次元でのほぼ最終結果に達したと思われる。7次元球面上(4変数)での(非)存在は次年度の中心的課題の一つとなろう。 葉層多様体上の流体力学として、葉に沿う流れであって、(葉の中でではなく)多様体全体で見て非圧縮なものを研究する枠組みを構築するのが目標であるが、今のところ、オイラー方程式を書き下すのは難しい。本年度は、そのような速度場の空間を、 ホモロジー的に自明なもの、更にその中で局所的な台を持つもの(のスパン)という階層を設定し、それぞれが、葉層と漸近的絡み数の概念から記述される空間として捉えられ、代表者と連携研究者の松元氏による葉層コホモロジーの結果を援用してそれらが完全に書き下せる例が存在することを示した。流体力学を超えて、葉層構造を研究するための新しい視点と方法論を提案、一部確立したと言える。この次元設定の場合、非圧縮葉向流の空間の構造が詳しく分かってきたので、オイラー方程式の導出と共に保存則の (非)成立が今後の重要な研究課題となろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
3次元接触構造、5次元接触構造、余次元1葉層構造、4次元シンプレクティック構造を総合的に研究した上での葉向シンプレクティック構造の研究結果は、枠組みを与えることが予想外に早期に達成され、結果として尖点特異点の場合も予想以上に早く研究が完成された。この点はまず計画を大幅に上回る進展と判断できる。 3次元多様体上の葉層構造の接触構造への変形に関する、変形量子化も含めた研究目標においては、当初の研究計画の厳密な方向性においては多少の進展を見るに留まったが、葉層流体の基礎づけという形でこの研究が大きく発展したことは、実際、予想の収穫であった。元来、流体力学を取り込んだ研究目標としても、葉層流体はまだ大分先の展開になる筈であったが、複数設定していた研究目標が予想外の関連を持ち、正確には定通りではなかったとはいえ、有機的な関連を持って発展を始めたことは、その結果においてのみならず、当初の研究計画が陰に持っていた有機性と深さを証明しており、十二分の進展と考えてよいように思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
余次元1葉向シンプレクティック葉層構造の構成については、複素4変数の特異点を考察し、7次元球面上での構成を研究するべきであるが、複素正則な範疇ではミルナー・ファイバーが単連結となるために全く無理と考えられていた。この方面では、正則・反正則混合型特異点のミルナー・ファイブレーション理論が近年構築され始めており、この理論の適用を試みることが次の第一歩となる。また、構成が不可能であること(非存在定理)も研究されなければならない。本研究の研究期間は残すところあと1年であるから、これらの方向性は、無理せずに、更なる将来の研究課題とし、これまで得られた5次元球面上での成果の総てをできるだけ早く論文として発表することを残り1年間の目標とすべきかもしれない。 葉層流体に関しては、オイラー方程式の導出、保存則の(非)成立の考察が次の課題であり、そこまでできて基礎固めとしての一段落と言えるであろう。 また、これと関連して3次元多様体上の葉層構造の接触構造への変形と量子化の課題を、変形に伴い漸近的絡み数にかかわるコホモロジー理論に局所的に生じる無限次元の空間の構造を把握し制御することにより、変形量子化としての理論形態を整えることが、次年度の課題となる。 4次元多様体上の2次元葉層に関しては、これまでの改変操作に関する研究成果を、改変操作に伴う幾何的トート性の保存・非保存を中心に考察を加えて最終的にまとめることが課題となる。
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Research Products
(17 results)