2012 Fiscal Year Annual Research Report
種々の情報通信系に内在する組合せ符号とその識別・復号アルゴリズムの研究
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22340016
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
神保 雅一 名古屋大学, 情報科学研究科, 教授 (50103049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗木 進二 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00167389)
三嶋 美和子 岐阜大学, 工学部, 准教授 (00283284)
城本 啓介 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (00343666)
澤 正憲 名古屋大学, 情報科学研究科, 助教 (50508182)
金森 敬文 名古屋大学, 情報科学研究科, 准教授 (60334546)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 組合せデザイン / 量子ジャンプ符号 / conflict-avoiding code / アフィン幾何 |
Research Abstract |
平成24年度は主に下記のテーマについて研究を行った。 (i) 量子ジャンプ符号に基づく新しい組合せ構造の研究およびその暗号への応用:量子ジャンプ符号と同値な組合せ構造としてmutually orthogonal t-designs(t-MOD)という概念を提案したが,24年度は、特に最適な1-MODの数理構造,存在性,構成法について研究を行い、完全グラフの1‐因子分解との関連を見出した。完全グラフの1-因子分解は頂点数vが奇数の場合には存在しないが、複素数体上の1-MODに拡張するとv=7の場合に存在することを示した。一方、0, 1に値を制限したt-MOD(t-SEEDと呼ばれる)については、最適なt-SEEDはt-デザインのlarge setと同値であることを示した。さらに、t-SEEDの鍵分散暗号への応用にも触れ、t-SEEDはt-secureな鍵分散暗号と同値であることを示した。これらの結果は、論文として公表し、また、国内外の研究集会で口頭発表を行った。さらに、有限アフィン幾何の2-flatがなす2-デザインの分解問題に数論的手法を用いて、デザインの分解数を与えた。この研究成果はt-SEEDの更生法としても有用である。 (ii) conflict-avoiding code(CAC)の構成: 重みが3と4の最適なCACの存在問題および構成法についても研究を行い、円分多項式を用いて重みが3で奇数長の最適な等差CACの構成法を与えた。さらに、重みが4の場合に、最適な等差CACの構成法と符号語数を明らかにした。 (iii) 反応抑制がある場合のグループテストにおける識別アルゴリズム:sum-productアルゴリズムによる識別アルゴリズムを開発し、その識別能力をシミュレーションにより明らかにした。この研究成果はいくつかの研究集会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
量子ジャンプ符号と同値な組合せ構造としてmutually orthogonal t-designs(t-MOD)という概念を提案したが,この概念はt-デザインの新たな研究テーマとして認知されつつある。また、最適な1-MODが、完全グラフの1‐因子分解との関連を指摘し、完全グラフの1-因子分解は頂点数vが奇数の場合には存在しないが、複素数体上の1-MODに拡張するとv=7の場合に存在することを示した。このことも今後、t-MODを研究するきっかけとなっている新たな成果であると思われる。一方で、0, 1に値を制限したt-MOD(t-SEEDと呼ばれる)について、最適なt-SEEDはt-デザインのlarge setと同値であることを示し、論文として発表した。さらに、t-SEEDの鍵分散暗号への応用にも触れ、t-SEEDはt-secureな鍵分散暗号と同値であることを示しており、t-secureと同値な組合せ構造であることを初めて指摘した。これらの成果は年度初めに予定した遂行計画にほぼ沿ったものである。 有限アフィン幾何の2-flatがなす2-デザインの分解問題に数論の手法を用いて、デザインの分解数を与えるという研究は本研究が初めてである。また、重みが4の最適なCACの存在問題および構成法は、一部のケースを除いてその構成法を明らかにしたものであり、現在論文としてまとめている。 さらに、反応抑制がある場合のグループテストにおける識別アルゴリズムの開発とその識別能力のシミュレーションによる検討も良い成果を得ており、いずれの研究も当初の予定通り順調に推移していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
t-MODの研究については、非存在定理をいくつか示すことができ、本質的に複素数体上でないと構成できない1-MODの例も特殊な場合に見つけることができたが、一般の奇数vについては1-MODが存在するか否かは未解決であり、今後の課題である。さらに、複素数体上の2-MODの存在についてはまだわかっていない。これらについては今後、さらに研究を進めていきたい。 conflict-avoiding code(CAC)については、重みが4の場合に一部未解決なケースがあり、この場合については今後の課題である。しかし、台湾のFu教授との研究情報交換で新たなアプローチの道がありそうであることがわかってきた。Fu教授との共同研究として分担者の三嶋氏、城本氏とともに研究を推進してゆきたい。また、CACに関連する多元接続符号ALOHAにおける符号語の最適重み分布を改良し、現在知られている重み分布より効率的な重み分布を見出す。さらにconflict-avoiding codeの概念を拡張して、その重み分布を達成する符号語の構成法を見出したい。 研究代表者たちは、グループテストの識別アルゴリズムにsum-productアルゴリズムあるいはbelief propagationと呼ばれる手法を用いたアルゴリズムを開発してきたが、最近、線形符号の復号アルゴリズムに物理的なエネルギーの最小化の原理を用いた手法が見出されている。本手法は、グループテストの識別アルゴリズムにも適用できる可能性を持つと考えられるため、グループテストの新たなアルゴリズムを開発し、識別能力に関して、我々が以前開発したアルゴリズムとの比較を行って見たい。
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Research Products
(33 results)
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[Presentation] Codes over rings and matroids
Author(s)
Keisuke Shiromoto
Organizer
The 36th Australasian Conference on Combinatorial Mathematics and Combinatorial Computing
Place of Presentation
University of New South Wales (Sydney, Australia)
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[Presentation] Density-Difference Estimation.
Author(s)
Sugiyama M., Kanamori T., Suzuki T., Plessis M., Liu S., Takeuchi I.
Organizer
The Neural Information Processing Systems
Place of Presentation
Lake Tahoe,Nevada,United States
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