2013 Fiscal Year Annual Research Report
種々の情報通信系に内在する組合せ符号とその識別・復号アルゴリズムの研究
Project/Area Number |
22340016
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
神保 雅一 名古屋大学, 情報科学研究科, 教授 (50103049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗木 進二 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00167389)
三嶋 美和子 岐阜大学, 工学部, 准教授 (00283284)
城本 啓介 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (00343666)
澤 正憲 名古屋大学, 情報科学研究科, 助教 (50508182)
金森 敬文 名古屋大学, 情報科学研究科, 准教授 (60334546)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 組合せデザイン / 衝突回避符号 / 量子ジャンプ符号 |
Research Abstract |
(1)重み4のconflict-avoiding code(CAC)の構成法: 平成24年度に続き,重み4のCACの構成法を一般の符号長について与えた.この結果,符号長nを因子2の巾aと3の巾bおよび2,3と疎な整数部分mに分けて表したとき,(a, b)=(0, 0), (1, 1)の場合を除いて,最適なCACの符号語数を決定し,その具体的構成法を与えることに成功した.本研究成果は,現在論文として纏めており,H26年度の早い時期に投稿予定である.重み4のCACの構成法については,現在,その構造が見通せるすべての場合について,か帰結に至ったと思われる. (2)グループテストのループサイズの最適性に関する研究: グループテストにおいて,テスト結果が陽性/陰性の2値であり,テスト結果に誤りがない場合に,各アイテムの平均テスト回数が与えられたもとで,グループサイズが一定のテストが識別確率を最大にするという意味で,最適であることを理論的に示した.また,その際の平均テスト回数の最適値についてもシミュレーションで最適値を求めた.研究成果は,院生との共同研究として論文にまとめる予定である. (3)研究代表者は,量子ジャンプ符号に関連して,複素素体上のt-デザインの族(t-MOD)を定義し,1-MODの構成にquasi-difference matrixが関連していることを見出した.今年度は,対角要素が不定元であるquasi-difference行列の構成法に関する研究を行い,ある種の行列がquasi-difference matrixとなるための条件を明らかにした.また,その条件を満足する例を計算機を用いて見出した. (4)光直交符号に関連するaffine-invariant Steiner quadruple systemの新しい構成法を与えた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)重みが4のCACの構成法については,計画以上に研究が進み,符号長が6と素な場合,およびその6倍の場合を除いて,一般の符号長について,最大符号語数を持つCACの構成法を明らかにすることができた.本研究成果は,現在,30ページ程度の論文として纏めており,CACの分野の研究としては,新たな方向性を与えた成果であると思われる. (2)また,グループテストにおいてテスト結果が2値で誤りがないとすると,各アイテムの平均テスト回数が与えられた場合に,各アイテムのテスト回数が一定の場合が,アイテムの識別確率が最大となるという意味で最適であることを示すことができた.この結果は,消失符号において,パリティ検査行列の列重みが一定でない符号の中に復号確率が最大となる符号が存在するという結果とは,異なる結果を与えているという意味で興味深い結果であると思われる. (3)量子ジャンプ符号に関連するquasi-difference matrixについては,その構成法を理論的に明らかにするには至っていないが,ある種の性質をもつ行列がquasi-difference matrixとなることを示しており,その条件を満足する行列は,与えられた次数の行列について存在するならば,本質的にただ1つであることを計算機で得ている.この行列を理論的に与えることが今後の課題であり,問題点を絞り込めている.また,その構成法には有限体の原子元などが関係するのではないかということが予想される. (4)affine-invariant SQSは光直交符号に応用する場合に,記憶すべき符号語数が少ないという意味で,理論的にも実用上も意味があり,その新たな逐次構成法を見出した点は評価されるのではないかと思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)重み4のCACについては,早急に論文として纏め,投稿したい. (2)グループテストにおける各アイテムの検査回数については,テスト結果に誤りがない場合には,どのアイテムも同数回テストを行うのが識別確率の意味で最適であることを示すことができたが,今年度は,テスト結果が2値で,テスト結果に誤りがある場合について,アイテムのテスト回数の分布の最適性について研究を行いたい.そのために,国内外のグループテストに関する研究者と研究情報交換を密に行い,さらに消失符号の最適性との関係を明らかにしたい. (3)量子ジャンプ符号に関連して,研究を行っているquasi-difference matrixの構成法に関して,その構造及び構成法を明らかにしたい.そのために,熊本大,Caltechなどの研究者を招聘あるいは訪問して研究情報交換を行いたい.さらに,グラフの因子分解を複素数体上に拡張した1-MODの構成法について,引き続き研究を行い,その存在問題および構成法を明らかにしたい. (4)affine-invariant SQSの構成法は現在論文として纏めており,近々,投稿予定である.また,本結果をSQSが存在しない場合にも一般化して,より一般的にaffine-invariantな光直交符号の構成法を与えたい.
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Research Products
(42 results)