2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22340024
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
竹田 雅好 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30179650)
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Keywords | 大偏差原理 / 対称マルコフ過程 / 加法汎関数 / ディリクレ形式 / ファインマンカッツ汎関数 |
Research Abstract |
強Feller性と既約性を持つ保存的な対称マルコフ過程に対して,そのレゾルベントにある種の緊密性を仮定すると,任意のコンパクト集合への到達時刻が指数可積分性を持つことを示した.その応用として,Donsker-Varadhan型大偏差原理において,初期値に関する上下からの一様な評価を示した.言い換えると,一様な大偏差原理が成立するための十分で確認可能な条件として,緊密性という条件を見つけたことになる.従来,一様なエルゴート性の下に示されていたが,状態空間がコンパクトな場合を除いて一様なエルゴート性が成立する例を知らない.しかし,状態空間がコンパクトではない場合にも緊密性を満たす例はある.例えば一次元拡散過程において境界がFellerの意味で流入境界であれば成立する.分数冪ラプラシアンを主要部にもつSchroedinger作用素の臨界性についても考察した.分数冪ラプラシアンから生成されるマルコフ過程は飛躍型マルコフ過程の典型である対称安定過程である.それが再帰的か過渡的かで正値調和関数の様子が著しく変わる.再帰的なときは、臨界的なSchroedinger作用素に対して有界な正値調和関数が存在し,劣臨界的なSchroedinger作用素に対しては有界な正値調和関数が存在しない.しかし過渡的な場合には,劣臨界的なSchroedinger作用素に対して有界な正値調和関数が存在する.以上の成果は,非局所Schroedinger作用素に対する正値調和関数の構造を調べる上で重要な指針となる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Donsker-Varadhan型大偏差原理において,初期値に関する上下からの一様な評価が,コンパクトな状態空間でなくても成立することが示せた.このことは、全く新しい知見を大偏差原理に与えている.
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Strategy for Future Research Activity |
再帰的か過渡的かで正値調和関数の様子が著しく変わることが示せたので,このことを非局所Schroedinger半群の安定性に応用することを目指す.正値調和関数の存在を示す方法はディリクレ形式とDonsker-VaradhanのI-functionの同定を用いる全く新しいアイデアによっている.この方法の可能性をさらに追及する.
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Research Products
(4 results)