2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22340032
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
泉 正己 京都大学, 理学研究科, 教授 (80232362)
|
Keywords | 作用素環論 / K理論 / 郡作用 / 部分因子環 |
Research Abstract |
作用素環は、典型的な無限次元の数学的対象として伝統的には函数解析学の一分野として研究されてきたが、近年では無限自由度の量子系の記述や非可換幾何学の理論を展開するための場としても盛んに研究されている。当研究の目的は、群、量子群、半群、さらにはテンソル圏などの代数系の作用素環への作用の解析を通して、作用素環の構造を明らかにすることであった。C*-環への群作用のK-理論による分類を発展させることは本研究の柱であるが、より具体的に私自身による予想"その分類空間が有限次元であるような可算従順群のKirchberg環への外部的作用はK理論的な不変量により分類可能である"の解決が本研究の中心的な課題であった。 千葉大学の松井宏樹准教授と共同でこの予想に取り組み、poly-Z群と呼ばれるクラスの群の外部的作用の研究を行なった。Poly-Z群のクラスは格子群Z^nや離散Heisenberg群を含み、現在のところ上記の予想が証明できる可能性のある最大のクラスである。まず準備として、Kirchberg環の連続漸近中心化環のK群の研究を行いそのKK理論による記述を得た。これを用いてK群を係数とする群コホモロジーに値を取る分類不変量を得た。群のHirsch階数が低い場合には、これが完全不変量となる。 有限群の表現の圏の一般化であるfusion categoryに、近年数学や数理物理学の多くの分野に現れる重要な代数系である。Cuntz環の自己準同型を用いて、部分因子環論に現れるある種のfusion categoryの分類を行い、その応用としてHaagerup因子環を含む部分因子環の族の分類を行なった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最大の課題であるKirschberg環へのpoly-Z群の作用の分類が順調に進展し、最終段階を迎えている。既にHirsch階数の低い群についてはK理論による分類が可能である。
|
Strategy for Future Research Activity |
Kirchberg環への離散群の外部的作用の分類を行うという研究課題は、poly-Z群のクラスについて大きな進展があり、現在最終段階に至っている。これまでに引き続き松井宏樹氏と共同でこの研究に取り組み、完全な分類定理の証明を目指す。Hirsch階数が高い群の場合、位相幾何学の障害理論の言葉を用いることが鍵となることが予想される。 部分因子環の指数理論及びfhsion categoryの理論においては近年数論的な方法が大きな成功をおさめている。例えば、深さ有限の部分因子環の指数がcyclotomic integerであるという事実は、指数5以下の部分因子環の分類定理において重要な役割を果たしている。今後従来の方法と数論的な方法を組み合わせて用いることが重要である。
|
Research Products
(5 results)