2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22340032
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
泉 正己 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80232362)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 作用素環 / K理論 / 群作用 |
Research Abstract |
1990年代以降,核型 C* 環の K 理論による分類理論は大きく発展を遂げた.その中でも,最も成功したのが Kirchberg 環と呼ばれるクラスの C* 環の分類理論である.これまでの研究成果に基づいて,千葉大学の松井宏樹氏と共同で Kirchberg 環への群作用の分類に関する次の予想の解決に取り組んだ:“分類空間が有限次元であるような可算従順群の Kirchberg 環への外部的作用はK理論的な不変量により分類可能である”.この予想の仮定を満たす群の中で比較的簡単な構造を持つものに poly-Z 群がある.poly-Z 群のクラスは,ねじれのない有限生成冪零群や,単連結可解 Lie 群の余コンパクト格子を含む重要なクラスである.poly-Z 群は次元に相当するHirsch length という不変量を持つが,Hirsch length が3以下の場合に,poly-Z 群の Kirchberg 環への外部的作用の分類を行った.分類不変量は,KK 群を係数可群とする群コホモロジーである. 有限群の表現の圏の一般化である fusion category は,近年数学や数理物理学の多くの分野に現れている.fusion category は部分因子環の理論と密接に関係しており,特に near group category と呼ばれる fusion category とその変種の分類は,部分因子環において重要である.Cuntz 環を用いる方法で新たな near group category の構成に成功した.また,ある種の near group category はその構造に強い制約があることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
作用素環の対称性の研究の中で特に重要なものに(1)群の作用の研究,(2)部分因子環の研究,(3)E0 半群の研究,がある.これらは当初研究目的の主なものであった.(1)については poly-Z 群の Kirchberg 環への作用の分類が Hirsch length 3 まで得られており,十分な進展をがあった.(2)についても,指数5以下の部分因子環の分類や Cuntz 環を使ったあらたな部分因子環の構成に成功しており,十分な進展があった.(3)については技術的に難しい段階を迎えており,今後方向転換を必要とする可能性がある.
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Strategy for Future Research Activity |
Kirchberg 環への poly-Z 群の作用の研究では,これまで十分な研究の進展があったので,今後さらに研究を進展させて発表する予定である.そのためには,位相幾何学の障害理論を使うことが有効であると予想されており,それを実際に実行する.これまでの研究で,poly-Z群の作用の研究の方法論を確立したといえるので,今後 Kirchberg 環以外の環への poly-Z 群の作用の研究を行う. これまでの研究成果により, near group category やその変種の研究に Cuntz 環を使う方法が有効であることが明らかになった.今後この方法をさらに発展させて研究成果を発表する計画である.特に near group category を使った Asaeda-Haagerup category の研究は挑戦のしがいがありかつ,実現する可能性のある課題であり,海外共同研究者とともに必要であればコンピューターを駆使してこれに取り組む. E0半群の研究は,これまで CCR や CAR の方法にこだわらずに,Powers の CP-flow の方法などを使って行う.
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Research Products
(7 results)