2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22340032
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
泉 正己 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80232362)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 函数解析 / 作用素環 / 群作用 |
Research Abstract |
ニューサウスウェールズ大学(オーストラリア)の Pinhas Grossman 氏と共同で Asaeda-Haagerup subfactor に付随する fusion category の Brauer-Picard groupoid の決定と,その quantum double の決定の研究を行なった.Grossman 氏とインディアナ大学(米国)のNoah Snyder 氏の研究により,この fusion category と Morita 同値な fusion category を構成するのに、研究代表者が以前に導入した Cuntz algebra の自己準同型を使う方法が有効であることが指摘されていた.そこで具体的にその fusion category を与える自己準同型の構成に着手し成功した.さらにそれを使って quantum double を計算したり,Brauer-Picard groupoid を完全に決定するのは今後の課題である. チェンナイ数学研究所(インド)のSrinivasan 氏と、E0半群と product system の研究を行った。我々が以前に行った正準交換関係を使った構成を見直し,正準交換関係の quasi-free 表現を使った構成と捕らえることにより,構成法を一般化することに成功した.ただしこのように構成したE0半群や対応する product system の構造を研究することは今後の課題である. ゲッチンゲン大学(ドイツ)の Detlev Buchhoz 名誉教授と,量子場の理論に起源を持つ,III型因子環の2つの正規状態の組の遷移確率に関する研究を行った.これは技術的にも未開拓な分野の研究であり,今後の継続的な研究を必要とする.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
C*環への群作用の研究については,千葉大学の松井宏樹教授との共同研究が順調に進んでいる.これまでの研究で,Kirchberg 環への Hirsch length 3 までの poly-Z 群の外部的な作用の分類結果を得ており,その内容も既存の結果とはかなり違う位相幾何的なものとなっており専門家の興味を引いている.最終的な結果が発表できるのも時間の問題であろう. E0半群の研究については,Srinivasanとの研究で正準交換関係の quasi-free 状態を使った構成に着手したところであり,大きな研究成果が挙がるかどうかは今後の研究にかかっている.今後調和解析のかなり深い結果を使う必要があると感じられる. 部分因子環論にあらわれるテンソル圏の研究については,当初の予想を超える成果が挙がっている.上記の Grossman との共同研究意外にも,キャンベラ大学(オーストラリア)の Scott Morrison や トロント大学(カナダ)の David Penneys との共同研究が進んでおり,研究代表者が以前導入した Cuntz 環の自己準同型を使う方法が当初の予想を超えて有効な方法となっている.
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Strategy for Future Research Activity |
Asaeda-Haagerup subfactor に付随する fusion category の研究は,quantum double や Brauer-Picard groupoid を具体的に記述する段階にある.前者については以前の研究代表者の研究により計算法が確立しているが,それを計算機の助けを借りて具体的に実行するには多くの工夫が必要であろう.数式処理を使うには比較的小さな有理数体の拡大体で計算を実行する必要がある.計算を何段階かに分け,大きな数体を使う計算を極力減らすことによりこの困難を乗り切る.後者については,Cuntz 環の自己準同型を使うだけでは不十分であり,複数の Cuntz 環や整数群 Z の群環の融合積の自己準同型を考えることで,構造の決定ができると期待している.この方法は他の fusion category の決定にも有効であることが最近の Morrison と Penneys との共同研究で明らかになっており,新たな研究方法として有力である. Cuntz 環の自己準同型の応用として,主グラフが 3n 型の因子環の分類の研究を行う.特に n が奇数のとき,奇数位数の群 G を拡大した fusion category が現れるが,有名な Feit Thompson の定理よりこような群 G はつねに可解群となる.この事実を使えば,このような部分因子環の分類を G で定義された具体的な方程式の解の分類に帰着できる可能性がある.
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Research Products
(4 results)