2010 Fiscal Year Annual Research Report
タイヒミュラー空間論に関連した力学系と確率過程のエルゴード理論的研究
Project/Area Number |
22340034
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
盛田 健彦 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00192782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉田 洋 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50192125)
大鹿 健一 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70183225)
角 大輝 大阪大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (40313324)
宮地 秀樹 大阪大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (40385480)
磯崎 泰樹 大阪大学, 大学院・理学研究科, 講師 (90273573)
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Keywords | タイヒミュラー空間論 / エルゴード理論 / ブラウン運動 / 熱力学形式 / 生成作用素 / 確率解析 |
Research Abstract |
確率過程に関連する部分では、既に研究代表者の先行研究によって得られているタイヒミュラー空間上の拡散過程の熱核が: 1、ナッシュ型の評価(ガウス核との比較)が成り立つか? 2、タイヒミュラー距離に関してのヘルダー連続性はあるか? 3、写像類群不変性をもつか? 4、タイヒミュラー距離を内在的距離とするか? といったブラウン運動の熱核と呼ぶにふさわしい性質を備えているかどうかの検証に重点をおいて研究を進めた。1、2の性質については1990年代のSturmの結果を用いることによって比較的容易に検証することに成功しており機会を見て論文にまとめる予定である。4についても同様の方針で検証ができるという道筋をたてることができたが、3については今少し議論が必要な状況である。力学系に関連する部分では、必ずしも当初の計画通りというわけにはいかなかったものの、以前から推進して来たタイヒミュラー測地流の閉軌道分布の研究のエルゴード理論的接近法の改良については若干の進展を見た。具体的には、ある種の繰込みを施したRuazy-Veech-Zorich誘導変換の力学系ゼータ関数は、絶対収束域を超えて有理型にかつ零点をもたない解析接続をもつという事実の精密化を与えた。すなわち、ある正の数δを十分小さくとるとことによって、実部が1-δより大きいような半平面における有理型解析接続を考えると、零点のみならず極についても1以外の極が存在しないように解析接続されることを確認した。この結果については2010年9月に京都大学数理解析研究所で開催された国際研究集会「Number Theory and Probability」における招待講演'Dynamical zeta functions for a class of renormalized RVZ inductions'で報告した。
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Research Products
(4 results)