2011 Fiscal Year Annual Research Report
タイヒミュラー空間論に関連した力学系と確率過程のエルゴード理論的研究
Project/Area Number |
22340034
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
盛田 健彦 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00192782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉田 洋 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50192125)
大鹿 健一 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70183225)
角 大輝 大阪大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (40313324)
宮地 秀樹 大阪大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (40385480)
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Keywords | タイヒミュラー空間論 / エルゴード理論 / ブラウン運動 / 熱力学形式 / 確率解析 / 測地流 / 力学ゼータ関数 |
Research Abstract |
本年度は、平成22年度に行ったTeichmuller計量から自然に定まるいくつかの力学系と拡散過程の大域的・エルゴード理論的挙動の関連性に重点を置いた研究を継続した。まず、本研究の雛形とも言える有限生成第1種Fuchs群に付随したRiemann面の測地流とBowen-Series写像についての考察によって、本研究遂行のための手法の開発に努めた。その過程において有限生成第1種Fuchs群のユニタリ表現を考えたときのSelbergゼータ関数に対して、本研究代表者が過去に行なった解析接続と転送作用素によるFredholm行列表現についての成果の改良を得ることができた。具体的には、Hilbert空間に値をとる解析関数の空間に作用する複素パラメータをもつ表現付き転送作用素の族を導入し、その絶対値1の固有値の存在条件を調べた。この転送作用素の族のFredhulm行列式でSelbergゼータ関数を表現することによってその解析的性質の幾つかを証明し,Chebotarev型の密度定理の別証明について再考を行なった。この結果のTeichmuller空間における類似については、写像類群の双曲元でRauzy-Veech-Zorich誘導変換で表現できるクラスについては、Selberg型ゼータ関数に関する解析が素数型定理とその剰余項の粗い評価を得る程度までは検証可能であるが、未だ写像類群の表現を考慮するまでにはいたっていない。以上に関して得られた結果については.2011年6,月京都大学数理解析研究所で開催された研究集会:Geometric and analyticabproaches to representations of a group and representation spacesおよび2012年2月鹿児島大学理学部で開催された研究集会:The 7th Kagoshima Algebra-Analysis Geometry Seminarにおける招待講演で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Teichmuller計量から自然に定まる幾つかの拡散過程および力学系に関して、それらの漸近挙動の対応関係における種数1の場合の類似の成立を裏付ける検証結果が複数得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降は、Teichmうller空間上の拡散過程と力学系の漸近挙動に関してより深い考察を行ないその対応関係を示した辞書に当たるものを作成することになる。現段階で既に想定されている問題点として,これまでに構成した拡散過程はTeichnmuller計量の視点から見ると自然なものではあるが,拡散係数の正則性についてはほとんどいたるところの点で連続という以上には期待できないことが上げられる。この問題の取扱い方法の確立の段階が本研究の律速段階となると思われる。したがって、来年度は場合によっては研究遂行にこれまで以上の時間を要する可能性がある。
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Research Products
(6 results)