2011 Fiscal Year Annual Research Report
確率論的手法による測度距離空間上の解析学と幾何学の研究
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22340036
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
桑江 一洋 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (80243814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩谷 隆 東北大学, 理学研究科, 教授 (90235507)
太田 慎一 京都大学, 理学研究科, 准教授 (00372558)
石渡 聡 筑波大学, 数理物質研究科, 助教 (70375393)
桑田 和正 お茶の水女子大学, 人間文化創世科学研究科, 講師 (30432032)
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Keywords | ディリクレ形式 / 調和写像 / 劣調和関数 / 変分収束 / グロモフ・ハウスドルフ収束 / アレキサンドロフ空間 / 加藤クラス / 熱核 |
Research Abstract |
平成23年度は以下の研究をおこなった。 1.コース・リッチ曲率が一様に正の数で下に有界なマルコフ連鎖の空間から2一様凸空間に値をとる二乗可積分写像の上のエネルギーのスペクトルの跳びに関する研究をおこなった。スペクトルの跳びが2一様凸空間の幾何的条件下で常に正になることを得た。また2一様凸空間の井関-納谷-不変量の一様な評価の下でスペクトルの跳びが一様にコース・リッチ曲率で評価できることを上記の設定のマルコフ連鎖で示した。これは有限グラフ上の酔歩で知られていたことの拡張になる。 2.一般化されたファインマン・カッツ汎関数の滞在分布に関するドンスカー・ヴァラドハン型の大偏差原理の研究を行なった。特にエネルギーOの連続加法的汎関数の項に加えて飛躍型の過法的汎関数の項も含めた一般的な状況で係数に関する条件を既成の条件を緩くした設定で結果を得た。その既決として一般化されたファインマン・カッツ半群のスペクトル半径のLp-独立性が得られた。この研究は熊本大学の金大弘氏と長岡高専の田原喜宏氏の共同研究である。 3.対称マルコフ過程のシルヴァーシュタイン拡大の一意性に関する研究をおこなった。ディリクレ形式の内在的距離がフランク・レンツ・ウィンガード3氏によって一般の飛躍項を含めマルコフ過程で最近導入されたことから、その距離による任意の開球の相対コンパクト性の条件の下で一意性を示した。また保存的ならば拡張の一意性が成立することが知られているが、非保存的だが一意性が成立する飛躍型マルコフ過程の例をいくつか構成した。この研究は岡山大学の塩沢裕一氏との共同研究である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リッチ曲率が下に有界な測度距離空間の対象のひとつとしてマルコフ連鎖のコース・リッチ曲率を扱って、概ね満足な結果を得ることができたことが挙げられる。またディリクレ形式のシルヴァーシュタイン拡大の一意性における内在的距離を用いた研究成果は研究目的に直接的に沿うとは言いがたいが、飛躍項のあるディリクレ形式の内在的な距離が離散幾何学における重要な道具になり得るという認識から、この研究を行なった意義はあると認識している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の方向として、マルコフ連鎖のコース・リッチ曲率の下限の下での調和写像の解析の研究を押し進める。またそれだけでなく、ボン大学の研究員であるヤン=マース氏の研究である、有限状態のマルコフ連鎖におけるロット・スツルム・ヴィラー二型のリッチ曲率下限条件め下での調和写像の性質を調べていく。氏は今年度の研究会「確率論と幾何学」で招聘する予定である。
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Research Products
(15 results)