2011 Fiscal Year Annual Research Report
近傍銀河の遠赤外線高精度画像データを用いた銀河の宿命の総合理解
Project/Area Number |
22340043
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
金田 英宏 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (30301724)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾中 敬 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30143358)
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Keywords | 赤外線宇宙観測 / 星間ダスト / 銀河 |
Research Abstract |
本研究は、赤外線天文衛星「あかり」で得られた近傍銀河の赤外線データを駆使して、空間分解された銀河星間物質の系統的研究を行うものである。赤外線衛星データは、宇宙環境によるさまざまな影響で、とくに広がった天体に対するデータの解析が困難であり、バックアップ検出器の地上実験などによる検出器物理の知識を導入してデータ処理を行う必要がある。 平成23年度は、3年計画の2年目にあたる。「あかり」全天画像めデータ処理を高速に行うための計算機サーバーを名古屋大学で購入した。データ処理はほぼ終了し、現在は、近・中間~遠赤外線に対して近傍銀河のマップを作成中である。また、画像データの解釈に補助的な役割を果たす分光データの処理を終え、銀河の近・中間赤外線あるいは遠赤外線スペクトルをまとめた。さらに、全天赤外線画像を作成の際に、宇宙放射線帯を通過するときに受ける出力オフセット変化や、検出器が温度ドリフトすることに伴う感度変化を補正するための方法を確立し、それぞれを査読付き雑誌論文などで報告した。 特筆すべき科学成果は、(1)年老いた古い銀河において、ダスト放射の空間分布を詳細に決定し、有機分子との分布の違いをクリアに示したこと、(2)炭化水素ダストが、衝撃波領域で破砕・変性を受けているとの直接的な証拠を得たことと、(3)銀河内のさまざまな領域で、ダストマントル上に成長した水や二酸化炭素の氷を検出したこと、である。これらは銀河内物質が、銀河の進化とともにどう変化しているかを知る上で全くの新しい知見となった。本研究代表者は、平成24年2月に韓国済州島で行われた、第2回「あかり」国際会議を主催し(会議の開催は別予算)、本研究で得られた成果の多くをまとめて発表した。また、成果の一部は、査読付き雑誌論文で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スペクトルデータのアーカイブ化はほぼ終了した。また画像データの処理はほぼ終了し、系統的に銀河データをまとめていく作業が残るのみである。科学成果は、本研究代表者が主催した平成24年2月の国際会議がモーチベーションとなり、多くの論文成果が出つつある。
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Strategy for Future Research Activity |
近傍銀河を視直径で分類してデータを系統的にまとめていく。個々の天体の成果に加えて、カタログ的な成果を論文にまとめる。銀河データをどのようにアーカイブ化したデータを公開するか、サーバーをどう管理するかが、検討すべき項目である。
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Research Products
(12 results)