2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22340044
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩室 史英 京都大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (80281088)
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Keywords | 光学赤外線天文学 / 超精密計測 / 精密位置制御 / 分割鏡 / 望遠鏡 |
Research Abstract |
京都大学では、次世代の超大型望遠鏡建設に必要な技術を用いて口径3.8mの望遠鏡を国内に建設する計画を進めている。本研究では、それに関連して以下の研究を行った。 1.望遠鏡架台に分割鏡支持機構を搭載しての制御試験 名大構内にて組み立てられている実際の望遠鏡架台に、京大で開発した分割鏡支持機構を取り付け、分割鏡と同じ重さのダミーの鉄板2枚を用いて実機上での制御試験を行った。望遠鏡架台からの振動や電気的ノイズの多い厳しい環境の中、2~3秒よりも遅い変形成分に関しては100nmの精度でのダミー鏡の制御に成功し、実機上での第一段階の制御レベルは達成できた。この様子は、ダミー鏡間に設置したレーザー干渉計を用いて光学的にも確認できた。しかし、鏡の横ずれを固定する機構などにもいくつかの問題があり、今後更なる改良を継続していく予定である。 2.位置センサー改良 これまで使用してきたインダクタンス方式の位置センサを、検出原理は変えずにセンサ基盤をセラミックにし、入出力部からの測定部への干渉をバッファ回路を追加して切り離すなどの改良を加えた。現在、新センサの性能評価中である。 3.チューナブルレーザーの安定性調査 これまで位相カメラに使用してきたHe-Ne5色レーザーには耐久性の欠陥があることが判明し、それに代わるものとして、チューナブルダイオードレーザーの安定性を評価した。その結果、位相カメラに十分利用できる性能を持つことを確認した。 4.分割鏡の光学試験準備 分割鏡の鏡面精度を光学的に測定するためのヌルレンズを製作し、光学測定をするための準備を進めている。 5.18枚の分割鏡の制御シミュレーション 最終的に18枚の分割鏡を制御するために必要な位置センサの配置を詳細に検討し、制御可能なことをシミュレーションで確認した。この結果は学会で発表を行った。 このほか、個々の温度センサの変換係数を求める作業などを並行して進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
位相カメラシステムの光源としてこれまで用いてきたHe-Ne5色レーザーには、耐久上の問題(使用状況により、約1年から3年で寿命を迎える)があることが発覚し、そのため、これに代わる耐久性の高い光源を探す必要に生じた。また、選定に際し、幾つかの候補の検討や安定性の確認や、レーザーの種類変更に伴う測定方法の変更の検討に時間を要したことなどが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
新しいレーザー光源を用いての、位相カメラ基本原理の確認試験を早急に再度行い、名大構内で試験中の分割鏡制御機構と組み合わせて、新位相カメラによる制御限定の決定と性能確認を行う予定である。これと並行して、分割鏡支持機構や位置センサの改良を継続し、より高い性能を発揮できるようにして分割鏡が順次完成するのに備える。これらの作業と並行して観測装置の仕様についても検討を進め、2天体を同時に高分散分光して波長安定性を確保する相対高分散分光器や、広視野面分光装置などの独自の装置に関しての概念設計をまとめる。
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Research Products
(3 results)