2013 Fiscal Year Annual Research Report
SDSS大規模分光探査による銀河形成史の解明と宇宙論の精密化
Project/Area Number |
22340050
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安田 直樹 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 教授 (80333277)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 宇宙物理 / 光学赤外線天文学 / 天文 |
Research Abstract |
本研究は、大きな成功を収めている広領域撮像分光サーベイであるSloan Digital Sky Survey (SDSS)を引き継ぎ、さらなる高度化・大規模化を目指した銀河・恒星の大規模分光サーベイ探査SDSS-IIIの実施とデータ解析を行い、精密宇宙論の探求および銀河の形成・進化史の解明を目的としている。 宇宙論の精密化のための赤方偏移0.7までの明るく赤い銀河(LRG)および赤方偏移3までのクエーサーの分光サーベイであるBOSSは順調にデータを取得し、2014年4月に所定の観測を終了し、135万個のLRGと23万個のクエーサーのスペクトルが取得された。平成25年度7月には、SDSS-IIIとして始めて赤外線による銀河系内の星のサーベイであるAPOGEEのデータを含むData Release 10が公開された。APOGEEによる星のデータには170の異なった領域の5万7千個の星のスペクトルが含まれる。BOSSとSDSSを含めた銀河のスペクトルの数は180万個に達している。データの詳細はウェブページ(http://www.sdss3.org/dr10)に記されている。 このData Release 10のデータに加え、公開前のData Release 11のデータ(120万個の銀河のスペクトル)を使い、宇宙の大きさを1%の精度で決定することができている。さらに、重力によって銀河とそこから推定される暗黒物質がどのように集まってきているかを調べることによって、重力の理論を検証し、アインシュタインの一般相対性理論で問題がないことが確かめられている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外の共同研究期間も含めたSDSS-III計画全体としては、観測によるスペクトルデータの取得、その解析ともに順調に進んでおり、予定よりも早く観測を完了することができた。日本のグループとしては、米国でBOSSに関わっていた数人がカブリIPMUに着任したこともあり、計画に対する貢献の割合は増えてきている。
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Strategy for Future Research Activity |
SDSS-IIIの最終的な観測結果に基づいた解析を進めて行くと同時に、昨年度終わりから始まった国立天文台すばる望遠鏡の新しい広視野カメラであるHyper Suprime-Cam(HSC)によるサーベイ観測と組み合わせた解析を進めるよていである。HSCによって深い撮像データが得られるが銀河の距離を測定するための分光スペクトルは得られないので、これをSDSS-IIIの分光スペクトルと組み合わせることで、宇宙の歴史の解明へのさらなる手がかりが得られると予想している。
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Research Products
(2 results)