2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22340056
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
杉山 直 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70222057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 隆彦 名古屋大学, 基礎理論研究センター, 准教授 (00282715)
市來 淨與 名古屋大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (10534480)
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Keywords | 宇宙論 / 構造形成 / 初期宇宙 / 密度揺らぎ |
Research Abstract |
本研究において着目する観測対象は、宇宙マイクロ波背景放射と宇宙大規模構造である。当該年度の研究成果としては、構造形成に対する非ガウス性の影響として、まず、宇宙最初期における星形成によってつくられるイオン化されたバブルを用いて非ガウス性を検証できる可能性について検討を行った。バブルの数を用いることで、将来観測によって非ガウス性について強い制限を与えることが可能であるという結論を得た。また、分布が歪度を持つ通常の非ガウス性ではなく、これまで調べてこられなかった尖度を持つ場合について、銀河分布などの構造を支えているダークマターのハローの数分布が受ける影響を、解析的に見積もった。その結果を用いて、最初の銀河団やヴォイドと呼ばれる銀河の少ない領域の数などを観測と比較することで、尖度を生み出すパラメターについてこれまでにない強い制限を与えることに成功した。さらに、宇宙マイクロ波背景放射の温度揺らぎと大規模構造の相関を取ることで、非ガウス性に制限をつける研究、銀河とダークマターの分布の比であるバイアスと呼ばれる量に対して、非ガウス性が及ぼす影響を解析的に解明する研究、非ガウス性のよい指標である温度揺らぎのフーリエ空間での3点相関関数の定式化を通常のスカラーモードだけでなく、ベクトル、テンソルモードまで拡張したこと、さらに、非ガウス性のソースとして初期磁場モデルを考えた場合にその定式を応用し、磁場の大きさについて、非ガウス性の観測からまったく新しい制限を得たことなどが挙げられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究実施計画の内容、すなわち非ガウス性の家今日を、構造形成について検証を行うという内容を着実に達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、数値シミュレーションを含め、さらに構造形成における非ガウス性の影響を見積もり、観測と比較することで、非ガウス性を生み出す初期宇宙のインフレーション機構の詳細に迫る。
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Research Products
(16 results)