2011 Fiscal Year Annual Research Report
非対称核子系における特異な核構造の系統的変化の実験的解明
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22340058
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
下田 正 大阪大学, 理学研究科, 教授 (70135656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田原 厚子 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (30264013)
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Keywords | 中性子過剰核 / 殻構造の系統的変化 / ベータ・ガンマ分光 / 核スピンの偏極 / 国際共同研究 |
Research Abstract |
以下の3項目を実施した。 1.平成22年8月度にカナダのTRIUMFにおいて実施した実験(スピン偏極した30Na核のベータ崩壊の測定)のデータの解析を完成させた。絶対検出効率とスピン偏極度を高い信頼度で導出することに成功したことが、30Mgの励起状態から放出されるガンマ線として新たに14本が存在すること、30Mgには未知の4つの励起状態が存在するという新発見につながった。こうして30Na->30Mgのベータ崩壊経路様式を新たに確定することに成功した。特に注目されるのは、二番目の2+状態とされている2.466MeVの準位へのベータ崩壊強度が極めて小さいこと、二番目の0+状態とされている1.788MeVの準位へのベータ崩壊強度が小さくないという、これまでの結果とは相反する実験事実を得たことである。これらの新発見は核構造の大きな手がかりとなる。この結果は京都で開催された国際会議で報告され、大きな議論となった。 2.30Mgの核構造を殻模型計算に基づいて予測した。中性子の数が極端に多いこの核では中性子がsd軌道に存在するとした計算では実験事実を再現出来ないことを初めて示した。Pf軌道の影響まで考慮した理論計算結果とも比較することで核構造の詳細な知見を得た。 3.Mgアイソトープについての系統的な測定結果を論文にまとめた。一つ目は28Mgに関するもので、Physical Review Cで掲載されることとなった(現在印刷中)二つ目は28Mg,29Mg,30Mgに関する詳細な実験結果と議論を学位論文(著者:田尻邦彦)どして公表した(2012年2月)。29Mgと30Mgについては学術雑誌への投稿準備が進行している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画のうち特に重要な課題であった30Mgのデータ解析と28Mgの論文掲載については計画通り終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の3つの課題に取り組む。(1)30Mg核の構造を理論的に予測し実験データと比較する、(2)30Mg核の構造に関する論文を執筆、(3)30Mgの励起0+状態(大きく変形)の回転状態を探索するための実験を企画し、その準備を行う。
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