2011 Fiscal Year Annual Research Report
大強度パルス化ミューオンビームの開発によるレプトンフレーバー物理の新展開
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22340065
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
三原 智 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (80292837)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西口 創 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教 (10534810)
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Keywords | パルス化ミューオン / レプトンフレーバー / J-PARC / μ-e転換事象探索 / ビームエクスティンクション |
Research Abstract |
平成22年度の試験結果に基づき、以下のような開発研究を行った。 ・イオンフィードバックを低減した光電子増倍管(PMT)を使用したホドスコープカウンタの開発 ・高計数率対応のコンパレータを採用した電子回路の開発 平成22年度に行ったビーム純度(ビームエクスティンクション)の測定では、本来ビーム粒子が存在しない時間領域にあたかも粒子が到達したかのような事象が観測された。その後の研究で、これらは、(1)ビームカウンタに大量の粒子が入射したため、PMT中で発生した陽イオンが光電面にまでゆっくりと移動し、後発パルスを発生した、(2)使用した電子回路の仕様上許される計数率以上のパルスが入射し初段電子回路の信号にノイズが加わり擬似パルスとなって計測された、が原因であることが判明した。これらに対処するため、カウンターを分割しホドスコープ化することでPMT1本あたりに入射する光パルス数を低減し、読み出しには陽イオンフィードバックを低減したタイプのPMTを使用したカウンターの製作、ならびに新規電子回路として高計数率対応のコンパレータを採用したディスクリミネータ回路の導入によるディジタル化の実現、を行った。これらの機器を使用して平成24年度初頭にT-PARCでビーム試験を行う。また測定器の波形を連続的に記録するための電子回路として、アナログメモリ技術を利用したDRSチップを採用した波形デジタイザーのプロトタイプを開発した。 これらに加えて、加速以前のビームエクスティンクションの悪化を主加速リング内で改善する方法の検討を進めた。具体的にはブースターから主リングへビームを入射した後に、ビームがリングを周回した後にキッカー磁石により不要部分を蹴り出すことで実現できるもとの期待している。この効果については平成24年度の試験により検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度はJ-PARC加速器が震災からの復旧作業のためユーザーにビームを供給できない状態であったが、本研究では平成22年度の測定結果を元に検出器の改良を進めた。また、加速器へのビーム入射時にビーム純度を回復する方法についての検討を進め、平成24年度に効率よくビーム試験を遂行するための準備を整えた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度初頭にJ-PARCにてビーム試験を予定している。この試験では、22年度に得られた結果よりもさらに高いビーム純度を達成するため、 ・J-PARC主リングへの新しいビーム入射方法の研究 ・高電子増倍管中で発生していたと見られる陽イオンフィードバックによる後発パルスの低減 ・高計数率対応の電子回路導入による電子回路起源のノイズの低減 を行う。後発パルスと電子回路起源のノイズの低減については平成23年度に整備した検出器を使用することで実現をはかる。
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