2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22340074
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
堂谷 忠靖 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (30211410)
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Keywords | X線 / CCD / 放射線検出器 / X線望遠鏡 |
Research Abstract |
本研究の目的は、宇宙空間での利用を念頭に、X線CCD検出器(カメラ)の性能向上を磁場印可と言う独自の手法により達成することである。今後、CCD検出器として主流をなす背面照射型CCDでは、空乏層内で電荷が拡散し易い傾向がある。そこで、磁場印可により電荷の拡散を押さえ、それによる性能向上を実験室実験により検証するのが本研究の目標である。今年度は、(1)真空槽および冷却系の整備の継続、(2)CCDの駆動読み出し系の改良、(3)磁場印可によるCCD内の電子雲拡散の抑制実験、(4)荷電粒子によるバックグラウンドの低減実験、を当初の目的として研究を進めた。 真空槽及び冷却系の整備は終わり、CCDを安定して-100℃程度に冷却できるようになった。また、CCDの駆動読み出し系については、本実験に必要なレベルでの整備は終わっているものの、ノイズレベルがやや高いため、来年度も引き続き読み出し回路基板の改良を行う予定にしている。これらの整備の段階で、真空槽内の駆動読み出し回路系からのアウトガスが、CCDに付着する現象が認められた。CCDにアウトガスが付着すると、X線の検出効率が低下するため、ベーキングを行うなどしてアウトガスを減らす対策を取った。一方、磁場印可によるCCD内の電荷拡散の抑制実験については、ほぼ準備が終わった段階で、永久磁石による磁場の印加方法について検討を行った。また、バックグラウンドの低減実験についても、ガンマ線源コバルト60を照射することでバックグラウンドを模擬できることから、どのように照射するのが良いか検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度始めに、4つの達成目標を設定した。そのうち、真空冷却系については予定通り整備が終わり、駆動読み出し系についても、ほぼ終了している。この間、アウトガスがCCDに付着するという想定外の問題が生じたが、ベーキングを徹底することで解決することができた。磁場印可による電荷拡散の抑制実験とバックグラウンドの低減実験については、ほぼ準備が終わりあとは実施するだけなので、おおむね順調に進展しているということができる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究については、当初の予定通り進める予定である。これまでの研究で、アウトガスによるCCDの汚染と言う想定外の問題が生じたが、ベーキングにより解決することができたので、当初の研究計画に大きなインパクトはない。次年度は最終年度に当たるので、早急に実験結果を出し、学会発表や論文発表を通して結果を公表していく予定である。
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