2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22340079
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岸田 英夫 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (40311633)
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Keywords | 非線形光学 / 緩和過程 / 開殻π電子系 |
Research Abstract |
項目1.イオン液体を用いてドーピングした共役系高分子の光学応答とポンププローブ分光 ドーピング濃度の精密制御とより高濃度のドーピングを目指し、共役系高分子に対し、イオン液体を使ったドーピングを行った。電気化学的ドーピングを行うと同時に光学測定を行うために、透明電極基板を用いた電気化学セルを作製し実験を行った。ドーピング濃度の増加とともに、ポーラロンが形成され、さらにドーピングを進めると高濃度のドーピング状態が実現-した。この高濃度ドープ状態の同定を行うために、ラマン分光を行った結果、低濃度領域と高濃度領域では異なる格子変形が起きている可能性が明らかとなった。またポンププローブ実験を行った。ドーピング濃度の増加とともに、緩和時間の高速化が観測された。これは長寿命成分の大きな変化によるものである。この現象は開殻電子状態であるポーラロン状態を介した緩和が関係している可能性があり、今後詳細な機構の険討を進める。 項目2.ビラジカル分子の非線形光学特性 開殻π電子系の一種であるビラジカル分子の蒸着薄膜を用い、電場変調分光法、第三高調波発生法によるスペクトル測定を行った。また低温における吸収測定を行い、振動準位の同定を行った。各スペクトルの詳細な解析の結果、電子励起準位構造が明らかになった。分子の配列に起因した電子状態が明らかになるとともに、分子のビラジカル性に由来すると考えられる非線形光学応答が明らかになった。ポンププローブ実験に関しても予備的な測定を行なった。これらの各種分光法の結果を総合して、ビラジカル分子結晶における非線形光学応答における主要な電子励起過程と緩和過程に関する考察をすすめる。.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画内容に従って実験を行い、結果を得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの方針通り研究を遂行する。具体的には、これまで各種分光法によるスペクトル測定を中心に進めてきた。今後は、ドープした共役系、ビラジカル系ともにさらに詳細なポンププローブ分光を進めることにより、緩和過程に関しての研究を進めていく。
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