2011 Fiscal Year Annual Research Report
温度依存性に注目した光捕集性デンドリマーにおける超高速励起子伝達過程の解明
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22340083
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
赤井 一郎 熊本大学, 衝撃・極限環境研究センター, 教授 (20212392)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島本 知茂 熊本大学, 衝撃・極限環境研究センター, 技術専門職員 (70419638)
藤井 淳浩 熊本大学, 衝撃・極限環境研究センター, 名誉教授 (30034375)
下條 冬樹 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (60253027)
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Keywords | 光物性 / ナノ材料 / 高効率太陽光発電材料 / フェムト秒分光 / エネルギー伝達 |
Research Abstract |
光捕集性デンドリマーは、光アンテナ系で捕集した光エネルギーを100%近い量子効率でコアに伝達させることから注目されている。本研究では、吸収、発光スペクトル、フェムト秒時間分解発光の温度変化に注目し、光アンテナ部からコア部への励起子エネルギー伝達過程とその物理的機構の解明を目的とする。 本年度の実績の概要は以下の通り。 (1)室温における超高速エネルギー伝達ダイナミクスの解明:構築した時間分解能約500fsのKerrゲート測定システムを用い、溶液試料において光捕集アンテナ励起における発光の立上りを計測した。立上りは極めて早く、時間分解能を100fsまで向上させるシステム改造を行った。 (2)超高速エネルギー伝達ダイナミクスの温度依存性の解明:購入した連続フロー型クライオスタットをKerrゲート測定システムに組こみ、3~300Kの範囲で超高速エネルギー伝達ダイナミクスの温度変化を測定できるシステムを構築した。 (3)アンテナ部品分子のコヒーレントフォノン信号の解析:アンテナ部品分子の単結晶を育成し、コヒーレントフォノン信号の偏光依存性を詳細に調べた。 (4)半経験分子軌道による分子構造・振動モードの解析:(3)の偏光依存性を理解するために、亭主は振動モードの異方性について半経験分子軌道シミュレーションを行った。 (5)第1原理分子動力学シミュレーション:非断熱的遷移をシミュレートできる有限温度における第1原理分子動力学シミュレーションにより、光捕集性デンドリマーのモデル分子でデクスター型エネルギー伝達が高効率に起こることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書の研究実施計画に記載した5項目それぞれにおいて、計画通りに研究が進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
検出する発光強度が比較的弱いために、光Kerrゲート測定システムにおいて、今年度はある程度時間分解能を犠牲にして500fsの時間分解能の計測を行った。連続フロー型クライオスタットを用いた温度変化測定においても、検出立体角の拡張による検出効率の向上と、時間分解能を向上できるKerr媒質の選択を済ませており、今後はそれらを用いた実験測定を進める。
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Research Products
(19 results)