2012 Fiscal Year Annual Research Report
STM・STSから見たBi系銅酸化物超伝導体の電荷秩序と2種類の擬ギャップ構造
Project/Area Number |
22340087
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊土 政幸 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90111145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桃野 直樹 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00261280)
小田 研 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70204211)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 銅酸化物高温超伝導体 / 走査トンネル顕微法 / 擬ギャップ / 電荷秩序 |
Research Abstract |
本研究は、銅酸化物高温超伝導体における擬ギャップに関連する電荷秩序の起源を調べることを目的としている。本年度は、Bi2212及びBi2201系高温超伝導体のCu-O面に形成される電荷秩序の基本的性質をSTS実験におけるロックイン出力を(直接)画像化して得たdI/dV像を基に、広いホール濃度領域にわたって調べた。このようなdI/dV像の測定は高温超伝導体では始めての試みであり、電荷秩序のエネルギー(バイアス)依存性を正確に調べることができる。その結果、「Cu-O面の電荷秩序は超伝導の準粒子干渉が見られる(低)エネルギー領域にも現れ、しかも電荷秩序の位相はSTM/STSにおけるバイアス極性の反転に対して対称である」ことが分かった。この結果は、電荷秩序の起源として電荷密度波等の干渉効果は除かれることを意味する。また、「電荷秩序の周期はホール濃度の増加と共に格子定数(a)の整数倍で変化する」ことも確認できた。さらに、dI/dV像を測定した試料表面の1部について、従来の手法によるLDOS像(local density of states)の測定を行い、電荷秩序の明るい部分と暗い部分のSTSスペクトルを比較した。その結果、明るい部分ではアンタイノード領域に形成される擬ギャップのウエイトが暗い部分に比べて低下し、逆に同領域でのペアリングギャップのウエイトが増加することが分かった。この結果は、最近の近藤氏らによるBi2201系に対するARPES実験の結果を考慮すると「dI/dV像の明るい部分は暗い部分に比べてホール密度が高くなっている」ことを意味する。 このような電荷秩序に伴うホール濃度の空間変化やその周期の離散的なホール濃度依存性から、電荷秩序の起源はストライプモデルで見られるようなCu-O面内におけるホールの再配列に起因するとの結論に至った。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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