2010 Fiscal Year Annual Research Report
金属強磁性スピン相関の中性子散乱分光研究及び高輝度中性子モノクロメータの実用化
Project/Area Number |
22340089
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平賀 晴弘 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (90323097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀金 和正 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 助手 (10406829)
遠藤 康夫 東北大学, 金属材料研究所, 名誉教授 (00013483)
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Keywords | 金属磁性 / 中性子散乱 / 中性子モノクロメータ / 結晶工学 |
Research Abstract |
本研究の目的は二つ。(1)金属(反)強磁性体におけるスピンダイナミックスの全容をパルス中性子及び定常中性子を使って研究し、磁気励起の観点から局在スピン系と遍歴電子系の特徴を明らかにする。(2)偏極中性子解析の弱点である強度不足を克服するため、応募者らが最近改良した半導体結晶中性子線モノクロメータを高性能化する。それぞれの目的に対する研究実績は以下である。 (1)[1-1]米国オークリッジ国立研究所の大強度パルス中性子源施設SNSにて、金属反強磁性体(Mn,Fe)_3Siの磁気励起観測を行った。これまで報告されていた磁気分散は高々15meVまでに過ぎなかったが、本研究では少なくとも150meVという高エネルギー領域まで磁気散乱断面積を見出すことに成功した。反強磁性スピン波分散からストーナー励起へ、更に高エネルギー領域の急峻な分散へと、磁気励起が階層的に移り変わっていく様子を鮮明に捉えることができた。[1-2]上記の興味深い磁気励起の起源を解明するため、Fe置換濃度依存性を中性子非弾性散乱により系統的に調査することとした。そのために、(Mn,Fe)_3Si大型単結晶育成の準備を開始した。 (2)[2-1]日本原子力研究開発機構の研究用原子炉にて、単色中性子回折法を用いて、塑性変形Si半導体結晶のモザイク幅と反射率を評価した。中性子モノクロメータとしてどれほどの性能が期待できるか、学術雑誌にて発表した。[2-2]「半導体結晶高温高圧加工システム」を製作し、既存の加工システムと併用できるよう整備した。[2-3]Ge半導体結晶の塑性変形に着手した。その一部については、単色中性子回折による結晶性評価を進めた。
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