2011 Fiscal Year Annual Research Report
量子相転移の物理の革新 -トポロジカル量子臨界、多重量子臨界と新量子相-
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22340090
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今田 正俊 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (70143542)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三澤 貴宏 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (10582687)
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Keywords | 量子臨界現象 / 非フェルミ液体 / トポロジカル相転移 / モット転移 / マージナル量子臨界 |
Research Abstract |
系のトポロジー変化によって特徴づけられる量子相転移や、1次相転移の浸み出し効果のあるような、特異な量子臨界点がその周りに引き起こす新奇な量子臨界性(マージナル量子臨界性や多重量子臨界性)の特質を明らかにすることが研究目標である。スレーブボソン法により、半導体における励起子概念を拡張して得られる複合フェルミオン描像が擬ギャップを含む銅酸化物の特異性を説明する鍵であることを示したうえで、銅酸化物の超伝導機構に対して再考し、d波的なギャップ構造と擬ギャップ構造の間にあった矛盾(dichotomy)を解決した。トポロジカル絶縁体とゼロギャップ半導体の間の相転移が対称性の破れと、トポロジーの変化による相転移の両方の性格を持ち、特異な臨界性を示すことを明らかにした。チャーン絶縁体とトポロジカル絶縁体の二通りの場合について、電子相関によって、自発的にスピン軌道相互作用と等価な項が生成される可能性を吟味し、この場合の相転移は、マージナルな量子臨界を含むトポロジカルな相転移に特有な性格を示し、従来のランダウギンツブルクウィルソン型の対称性の破れによる理論に従わないことを明らかにした。特にグラフェン型の蜂の巣格子、カゴメ格子、ダイアモンド格子、パイロクロア格子について、その臨界性を平均場近似の範囲で求め、従来型の相転移でないことを示した。また、モット絶縁体近傍の非フェルミ液体相を調べ得るクラスター型動的平均場理論のクラスターサイズ依存性をしらべ、少数クラスターでより速く熱力学極限に収束させる方法を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トポロジカル絶縁体への相転移の研究は予想を超えて包括的に進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
トポロジカル絶縁体への相転移ついて、平均場を超えたふるまいを調べるために、多変数変分モンテカルロ法や繰り込み群法を適用する。また、ドープされたモット絶縁体のふるまいについて引き続き考察を進める。
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Research Products
(13 results)