2012 Fiscal Year Annual Research Report
量子相転移の物理の革新 ―トポロジカル量子臨界、多重量子臨界と新量子相―
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22340090
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今田 正俊 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70143542)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三澤 貴宏 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10582687)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 量子臨界現象 / 非フェルミ液体 / トポロジカル相転移 / モット転移 / マージナル量子臨界 |
Research Abstract |
系のトポロジー変化によって特徴づけられる量子相転移や、1次相転移の浸み出し効果のあるような、特異な量子臨界点がその周りに引き起こす新奇な量子臨界性(マージナル量子臨界性や多重量子臨界性)の特質を明らかにすることが研究目標である。トポロジカル絶縁体とゼロギャップ半導体の間の相転移が対称性の破れと、トポロジーの変化による相転移の両方の性格を持ち、特異な臨界性を示す問題について、引き続き平均場理論の枠を超えて、グラフェン的な構造を持つ蜂の巣格子系を例にとって、多変数変分モンテカルロ法による研究を進めた。量子ゆらぎを取り入れても、特異な臨界性が保持されるかどうかを検討している。一方有機導体で実験的に観測された特異な普遍性を示すモット転移の機構に最終的に決着をつけるべく、国際共同研究で低温モット転移のふるまいを追究している。これによって実験結果の解釈として量子モット転移が本当に正しいかどうか決着をつけられる。またイリジウム化合物の新奇量子相の可能性を第一原理的に追究している。さらにハバード模型の超伝導を吟味し、相分離と関連するマージナル量子臨界点の近傍で、超伝導相が顕著に安定化することを示した。この超伝導はスピン相関とそのゆらぎが超伝導機構に顕著な寄与をすると考えられているが、むしろ相分離に伴うマージナルな量子臨界性が生み出す超伝導への寄与が大きいことがわかってきたという点で、長年の懸案である銅酸化物超伝導の機構解明に大きく貢献すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ハバード模型の量子臨界の解明、有機導体の量子モット転移の研究などが予想以上に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
トポロジカル絶縁体への相転移ついて、平均場を超えたふるまいを調べるために、多変数変分モンテカルロ法による研究をさらに進める。また、ドープされたモット絶縁体のふるまいについて引き続き考察を進める。有機導体、イリジウム化合物の研究も引き続き進める。
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Research Products
(21 results)