2010 Fiscal Year Annual Research Report
X線磁気分光による磁場制御量子臨界電荷揺らぎの研究
Project/Area Number |
22340091
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松田 康弘 東京大学, 物性研究所, 准教授 (10292757)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水牧 仁一郎 (財)高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門MCDチーム, 副主幹研究員 (60360830)
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Keywords | 重い電子 / 放射光X線 / パルス磁場 / 量子臨界 / 価数揺動 |
Research Abstract |
超高精度でX線吸収スペクトルを測定するために、パルス磁場発生時の機械振動を除去する冷凍機プローブを開発し、SPring-8のBL39XU、及びBL22XUビームラインにおいてX線磁気円二色性(XMCD)、X線吸収スペクトル(XAS)の実験をパルス強磁場下で行った。機械振動はパルスマグネットと試料のそれぞれの取付けを可能な限り独立させ、冷凍機のプローブ差し込み口付近でのみ結合させた。それによって、パルス幅の約1msの間には、振動成分が試料位置まで到達しない条件を満足できた。40Tの磁場発生時に試料位置がほぼ移動しないことがXAS信号から確認された。 対象物質は、YbAgCu_4を選んだ。この物質は価数転移の量子臨界点を磁場で制御することが可能であると期待されており、30T以上の磁場でブロードなメタ磁性転移を示す。このメタ磁性転移での価数の磁場変化の可能性は過去に磁歪などの実験から示唆されていたが、一方では価数の磁場依存性は無いとしてメタ磁性を理解する論文もあり、解釈がわかれていた。本研究で、35Tまでの精密なXASおよびXMCDスペクトルの測定に初めて成功し、価数が磁場によって顕著に増大することを初めて実験的に明らかにした。 さらに、価数の精密決定に威力を発揮すると考えられるX線発光分光(XES)の測定をゼロ磁場中で試験的に行い、湾曲型分光結晶による2次元検出システムでは測定時間が長くなり、パルス磁場向きでは無いことを確認した。その結果、球面分光結晶を購入することにし、繰り越し手続きを経て、現在、測定システムに組み込み、予備実験を行っている。
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Research Products
(4 results)