2010 Fiscal Year Annual Research Report
超流動ヘリウム3の界面で期待されるマヨラナ粒子の探索
Project/Area Number |
22340095
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
奥田 雄一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (50135670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 竜司 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (00323783)
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Keywords | 超流動3He / 表面束縛状態 / マヨラナ粒子 / 音響インピーダンス / NMR |
Research Abstract |
我々は、超流動3He-Bの表面束縛状態を横波の音響インピーダンス測定から、分光学的に観測することを実証してきた。そして、壁を超流動4He薄膜でコートすることにより、3He準粒子の壁での散乱条件を微妙にコントロールすることができ、それに応じて表面束縛状態のエネルギーが変化することをとらえることができた。しかし、超流動4Heの厚さをある程度以上厚くし、スペキュラー散乱に近付けていくと、横波音響抵抗の低エネルギーピークが新たに成長することを見出したことが最も大きな成果である。その後、この低エネルギーピークの成長は理論計算によっても再現された。鏡面度を変えたときの表面束縛状態の角度分解状態密度と分散関係の理論計算の結果は、ラフな極限S=0では、準粒子のエネルギー巾が広く線形分散関係はないが、ラフネスが小さくなるにしたがいエネルギー巾がシャープになりマヨラナコーンが明確になるという系統的振舞いを示している。このマヨラナコーンの顕在化が、横波音響抵抗の低エネルギーピークを作ることが分かった。超流動ヘリウム3-B相の表面に存在するマヨラナ・フェルミ粒子が持つとされる性質の一つ、線形分散関係が実験的に確かめられたこととなる。この系においては、異方的な磁気応答や表面スピン流など、マヨラナ性に起因する特異な性質が他にも予言されており、その検証は将来の課題である。今年度の研究の一部でマヨラナの帯磁率の異方性に着目した実験の準備も進めることができた。来年度早々からその実験に取りかかれるものと思われる。
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