2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22340096
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田仲 由喜夫 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (40212039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏谷 聡 (独)産業技術総合研究所, エレクトロニクス研究部門, 研究グループ長 (40356770)
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Keywords | 近接効果 / 超伝導接合 / 奇周波数電子対 / カイラル対称性 / アンドレーエフ束縛状態 |
Research Abstract |
奇周波数電子対の近接効果は、p波超伝導体と正常金属の接合系において顕著に表れると考えられるため、Sr_2RuO_4(SRO)とAuの界面状態の制御を試みた。真空中での蒸着プロセスを用いてSRO/Au接合を作成した結果、7つの接合のうち5つについて、SROの超伝導に起因するコンダクタンスの変化を観測し、そのスペクトルの変化はカイラルp波によるものと良い一致を示した。 この結果はSROの超伝導性がAu界面までしみ出しており、今後奇周波数ペアによる近接効果を観測するための準備が整ったものと考えられる。 理論研究では、超伝導体・強磁性体接合における奇周波数電子対の役割を調べた。超伝導体と強磁性体界面に存在するスピンに依存した散乱効果を考慮して強磁性体による交換磁場と接合界面で作用するスピンに依存した界面効果、この2つの効果が存在する場合の相互作用の関係性と物理量に与える影響について調べた。スピンに依存した界面での電子対の位相シフト効果を考慮することで、強磁性体/超伝導体接合における局所状態密度と超伝導体/強磁性体/絶縁体/強磁性体/超伝導体接合におけるジョセフソン電流についての計算を行った。その結果、位相シフトの効果が奇周波数電子対の形成、ゼロエネルギーにおける状態密度のピーク、π接合の形成に重要な役割を与えることを示した。またスピン3重項超伝導体接合で現れる異常近接効果を調べて表面インピーダンスが従来と全く異なる性質を示すことを明らかにした。またカイラル超伝導体エッジ状態として現れるマヨラナフェルミオンの性質を調べるために、マヨラナフェルミオン間のトンネル効果をTL流体の観点から調べた。
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Research Products
(18 results)