2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22340096
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田仲 由喜夫 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (40212039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏谷 聡 (独)産業技術総合研究所, エレクトロニクス研究部門, 研究グループ長 (40356770)
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Keywords | 近接効果 / 超伝導接合 / 奇周波数電子対 / カイラル対称性 / アンドレーエフ束縛状態 |
Research Abstract |
奇周波数クーパー対の理論・実験研究を昨年度に引き続いて行った。奇周波数クーパー対による異常な近接効果の存在が8年前から予言さされていたスピン3重項超伝導体の実験が進展した。これまでスピン3重項超伝導体でアンドレーエフ束縛状態の確認はされていなかった。Sr2RuO4の良質な界面を持つ接合を作成することで、ブロードなピーク構造を持つ零電圧コンダクタンスピークが観測された。理論解析により、線形分散関係に起因したアンドレーエフ束縛状態形成で説明できることが明らかになった。97年に予言されていた電流電圧特性が実験的に解明されたことになり、意義は大きい。またさらに透過率の高い接合が作成可能となり、軌道間の位相差による干渉効果の観測が可能となりつつある。この接合を用いることで、T字型接合、常伝導体の準粒子状態密度の解析が可能となる。 理論的側面では、磁気散乱における近接効果における奇周波数クーパー対の研究が行われた。特に界面で磁気散乱効果によってスピンに依存して透過する際に位相の差が現れる、スピン依存位相差トンネルが存在することで、奇周波数クーパー対が隣接した常伝導金属に誘起されて異常な電磁応答が現れることが明らかになった。このスピン依存位相差トンネル効果が強磁性体-超伝導体接合において果たす役割についても研究が行われた。また奇周波数クーパー対と零エネルギーアンドレーエフ束縛状態の関係が明確となり、トポロジカル超伝導体におけるエッジ状態が奇周波数クーパー対として理解されることが理論的に解明された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超伝導の理論に関しては、奇周波数電子対とトポロジカル超伝導の関係が明確になりつつあり、奇周波数クーパー対の意義が深まってきた。また実験ではカイラル超伝導体であるSr2RuO4のトンネル分光が画期的に進歩して、アンドレーエフ反射の観測が可能になった。そのため、異常近接効果を確かめることが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
最近超伝導体の上にナノワイヤーを載せた系における特異な近接効果の研究が始まっている。この系は、奇周波数クーパー対が存在することが期待される。スピン3重項超伝導体の異常近接効果を作り出す奇周波数クーパー対とナノワイヤーの系との違いを対比させながら研究を進めたい。
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Research Products
(16 results)