2010 Fiscal Year Annual Research Report
非クラマース結晶場基底状態をもつ重い電子化合物の高磁場NMRによる研究
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22340102
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤 秀樹 神戸大学, 理学研究科, 教授 (60295467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小手川 恒 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (30372684)
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Keywords | 結晶場 / 重い電子 / 重い電子超伝導 / 核磁気共鳴 / ナイトシフト / 核スピン格子緩和時間 |
Research Abstract |
本研究ば、核磁気共鳴(NMR)を主たる研究手段とし、Pr化合物やU化合物などのf^2非クラマース結晶場基底状態をもつ重い電子化合物および重い電子超伝導について、結晶場や軌道自由度とその重い電子状態との相関を明らかにし、これらの系で発現する重い電子の起源にせまることを目的とする。本年度は重い電子超伝導体PrOs_4Sb_<12>,UBe_<13>について単結晶強磁場精密NMR測定により、局所スピン密度を解析することで、f^2電子状態に起因する重い電子状態および重い電子超伝導状態を調べた。 PrOs_4Sb_<12>では、磁場を[001]軸方向に印加し、Sb-NMRの核スピン格子緩和率1/T_1とナイトシフトの磁場・温度依存性を測定した。9テスラの磁場でSbの局所スピン密度を決定し、ナイトシフトの異方性がバンド計算より指摘されているa_u対称性と一致することを明らかにした。また、常伝導状態の超微細結合定数およびNMR緩和率の磁場依存性がf^2結晶場準4重項状態に特徴的な八極子を考慮することで説明可能であることを明らかにし、多極子揺らぎによる重い電子状態が実現されている可能性を指摘し、新しいタイプの重い電子機構へ手がかりを得た。 UBe_<13>では、重い電子状態を明らかにするためにBe-NMR緩和率の磁場依存性を17テスラまでの磁場範囲で測定した。7テスラの磁場までは1/T_1はキュリーワイス的な温度依存性を示し、2テスラ以下で重フェルミ流体状態であるコリンハ則がみられる。一方、16.5テスラでは5K付近でキュリーワイス的な温度依存性からずれはじめコリンハ則に近づくことが明らかとなり、この系での重い電子状態に近藤効果が重要であることが微視的な観点から明らかとなった。 そのほか超伝導関連物質としてFe系超伝導の研究も行った。
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Research Products
(14 results)