2011 Fiscal Year Annual Research Report
フェルミ準位近傍の準粒子に働く多体相互作用の定量評価
Project/Area Number |
22340103
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
島田 賢也 広島大学, 放射光科学研究センター, 教授 (10284225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 雅樹 広島大学, 理学研究科, 教授 (10126120)
生天目 博文 広島大学, 放射光科学研究センター, 教授 (10218050)
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Keywords | 角度分解光電子分光 / 電子帯構造 / フェルミ面 / 多体相互作用 / 準粒子 |
Research Abstract |
金属・半金属の低温物性はフェルミ準位近傍の準粒子のふるまいと密接に関わっている。本研究の目的は準粒子に働く多体相互作用を放射光を用いた高分解能角度分解光電子分光実験により定量的に明らかにすることである。交付申請書に記載した実施計画(1)-(4)に対応させて、得られた成果の内容、意義、重要性を記述する。 (1)超高真空中で単結晶試料を2000℃まで加熱できるシステムを構築した。これにより高温加熱が必要なタングステン、モリブデンなどの単結晶試料の清浄表面が得られるようになった。このシステムを用いてタングステン表面上のスピン偏極した表面準位を発見した(K.Miyamoto et al., Phys.Rev.Lett.108, 066808 (2012))。また米国のネブラスカ・リンカン大学との国際共同研究によりモリブデン(112)単結晶表面上に存在する表面準位が初めて完全に明らかとなった(K.Fukutani et al.Phys.Rev.B (2012)印刷中)。 (2)強相関希土類薄膜単結晶Ce/W(110)および参照系としてLa/W(110)の作製に成功した。 (3)CeおよびLa薄膜について放射光励起の高分解能共鳴角度分解光電子分光を行ない、フェルミ面やバンド分散を明らかにし、4f電子がフェルミ準位近傍にどのくらい寄与しているのかを明らかにした。Ceのc-f混成バンドでは電子相関が強いことが示唆された。Laではc-f混成を通じて4f電子の寄与があるものの電子相関はそれほど顕著でないことも明らかとなった。またLa薄膜単結晶においては電子-格子相互作用によるバンドの折れ曲がりが観測され、結合パラメータを~0.7と見積った。 (4)放射光の直線偏光特性を活かした高分解能角度分解光電子分光実験により、国内外の共同研究者とともに銅系および鉄系超伝導体、ルテニウム酸化物超伝導体の電子構造を精密に明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実施計画をほぼ達成でき、部分的には当初の計画以上の研究成果を公表することができた。タングステン(110)表面に存在するスピン偏極した表面準位が発見できた(K.Miyamoto et al., Phys.Rev.Lett.108, 066808 (2012))。これまで技術的に困難であったCeおよびLaの純良薄膜単結晶の作製に成功し、フェルミ面、バンド分散を明瞭に観測できるようになった。実施計画であげた銅系、鉄系超伝導体、ルテニウム酸化物以外にもトポロジカル絶縁体、強相関希土類化合物、希土類表面合金、Al(100)表面準位の研究など国内外の研究者と放射光を用いた高分解能光電子分光による物性研究を広く展開することができ、Science, Phys.Rev.Lett., Phys.Rev.Bなどに17編の論文(掲載決定済含む)を発表できた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた希土類単結晶薄膜の結果について、さらに研究を進め、投稿論文にまとめる。本研究で開発した装置を用いて、重金属元素表面上のラッシュバ分裂した表面電子状態の探索、トポロジカル絶縁体、表面ナノワイヤ、半導体表面上の二次元電子ガスの多体効果の研究などを展開する。
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Research Products
(73 results)
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[Journal Article] Orbital-Independent Superconducting Gaps in Iron-Pnictides2011
Author(s)
T. Shimojima, F. Sakaguchi, K. Ishizaka, Y. Ishida, T. Kiss, M. Okawa, T. Togashi, C.-T. Chen, S. Watanabe, M. Arita, K. Shimada, H. Namatame, M. Taniguchi, K. Ohgushi, S. Kasahara, T. Terashima, T. Shibauchi, Y. Matsuda, A. Chainani, S. Shin
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Journal Title
Science
Volume: 332
Pages: 564-567
Peer Reviewed
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