2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22340114
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上田 正仁 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (70271070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 由紀 東京大学, 理学系研究科, 助教 (00456261)
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Keywords | 原子 / 低温物性 / 物性理論 |
Research Abstract |
本年度は、スピノールボース・アインシュタイン凝縮体(BEC)の磁化過程のダイナミックスの研究およびボゴリウボフ近似を超えた近似であるLee-Huang-Yang(LHY)補正を中心に研究した。前者では、磁気的相互作用が存在する状況下において強磁性的スピン交換相互作用をするBECの磁化過程のダイナミックスの研究を行った。 手法は、多成分グロス・ピタエフスキイ方程式とボゴリウボフ理論を用いた。その結果、チェッカーボードやストライプタイプの磁気パターンが現れることを見出した。しかしながら、バークレーの実験グループが観測している短距離の磁気秩序のスケールを再現することはできなかった。また、得られたパターンが長時間の後に消えてしまうことが分かった。LHY補正はスカラーBECにおいては先行研究があるが、スピノールBECにおいては繰り込み操作が複雑なためにこれまで部分的な答えしか知られていなかった。今回我々は実験的に重要な2次ゼーマン効果を含んだ場合にLHY効果を求めることに成功した。また、スピンが2のBECのネマティック相においては、ギャップレスなモードがゴールドストーンの定理から予測されるモードの数よりも多いことを見出し、それが高エネルギー物理で議論されている擬南部-ゴールドストーンモード(QNG)であることを指摘した。特に、量子揺らぎの効果によってQNGモードが質量を獲得し、その結果としてトポロジカル励起が安定化されるという現象を発見した。
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