2011 Fiscal Year Annual Research Report
イオントラップ中での同位体イオンクーロン結晶の観測とリュードベリイオンの生成
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22340115
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 秀一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (90262047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮部 昌文 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究主幹 (20354863)
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Keywords | 原子・分子物理 / イオントラップ / レーザー / 同位体 |
Research Abstract |
レーザーアブレーションにより直接的にカルシウムイオンを生成することで、複数同位体を同時にトラップ内に捕獲し、まず支配的な同位体イオンをレーザー冷却することにより、トラップされた他の同位体イオンも併せて冷却した。その後、冷却レーザーの波長を掃引することのみで、支配的な同位体イオンを加熟しトラップ内から排除することに成功した。さらに他の同位体を同時に冷却することで、微量な同位体をトラップ内に維持・冷却することができた。また、トラップされた同位体イオンの制御性を向上させるため、電極へ印加する高周波電圧を矩形波にできるような増幅装置を作成した。これを用いてトラップ実験を行い、同位体イオンの蛍光信号を観測し、レーザー冷却が可能であることを確認した。トラップされたイオンからの蛍光をレンズにより集光しCCDへ導入することで、3次元空間におけるイオンの2次元写像を得ることができた。また途中で光路を2分割し、光電子増倍管に導入することで蛍光強度の積分値およびその時間分解を行うことが可能となった。そのための光学系の調整を行った。その結果、15個程度の個別イオン結晶を観測することに成功した。得られた画像は電極に対してゆがみを持っていることから、更なる電場の補正に対する知見を得た。共鳴励起・イオン化を行うためには複数の半導体レーザーシステムが必要となることからその設計・製作を行った。完成したものについては、その発振条件の調整を行った上で、温度・電流・波長などの特性を測定し、励起に必要となる波長を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
結晶状態を確認するための個別イオン可視化が可能になっている。また、レーザー波長の調整によりすべての安定同位体の蛍光観測に成功している。共振器を用いた波長制御システムについては、コンピュータ制御による波長掃引を実現している。
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Strategy for Future Research Activity |
多段階励起に必要となるレーザーシステムの同時波長制御およびその利用を実現するためのシステム構築を目指す。あわせて個別準位状態を確認するための光学観測システムを設置し、励起状態の可視化を検討する。
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Research Products
(1 results)