2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22340118
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
冨田 誠 静岡大学, 創造科学技術大学院, 教授 (70197929)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 画像 / 遅い光 / 速い光 / 共振器 |
Research Abstract |
直列2連結合共振器によるEIT型分散構造と画像制御 23年度までの研究で単一の画像共振器による画像制御が実証されている。24年度は、より高度な機能を持った系としてFabry-Perot共振器の第二面鏡の背後にさらに共振器を配置した、直列2連結合共振器について研究を進めた。この配置によって、第1の共振器のみを伝播する光と、第2の共振器もあわせて伝播する光の干渉によってEIT(= Electro-magnetic Induced Transparency)型のスペクトル構造を作り出した。画像の伝播時間を調べるために、現有の単一モード波長可変の連続光を科研費で購入したLN (=LiNbO3)変調器とパルス発生器で時間的に切り出すことで数10nsec程度の光パルスを発生させ、画像をエンコードする。画像光が伝播するのに要する時間遅延をストリークカメラをもちいて測定し、結合画像共振器による「速い画像」を実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の理由から達成度を評価した。(1)画像の伝播速度を決めるFabry-Perot型共振器の分散特性について、第一面鏡の反射率、第二面鏡の反射率、共振器長などを制御可能なパラメータとして、分散特性の理論解析を終えている。特に、弱結合条件下、すなわち、共振器と外部光の結合が共振器の損失よりも弱い場合には異常分散が現れ「速い画像」を実現できること、一方、強結合条件下、すなわち、結合の強さが球内部での光の損失よりも強いき場合には正常分散が現れ「遅い画像」が実現できることを示し、詳細な解析を行った。(2)上記(1)の解析結果にもとづいて、科研費で購入したLN (=LiNbO3)変調器とパルス発生器をもちいて、単一モード連続発振レーザーからの光を切り出すことで時間的によく制御された光パルスを発生させ、この光ビームに画像をエンコードすることで、画像の伝播時間を調べる実験を終えている。実験と理論との詳細な比較を行うために、共振器系を画像光が伝播するのに要する時間遅延を現有のストリークカメラをもちいて測定した。そして、画像共振器によって「速い画像」、「遅い画像」が実現できることを初めて実証した。(3)Fabry-Perot共振器の第二面鏡の背後にさらに共振器を配置し、2つのFabry-Perot共振器をタンダムに配列した構造を考え、この配置では、第1の共振器のみを伝播する光と、第2の共振器もあわせて伝播する光の干渉によってEIT(= Electro-magnetic Induced Transparency)型のスペクトル構造が作り出されることを示した。この結合共振器構造において、画像は原理的に減衰も増幅も、波形の変形もなく第2の共振器のQ値で決まる大きな時間遅延をもって透過してくることを実証した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)バンドルファイバー導波路型の並列共振器による画像制御 平成24年度までの研究により、科研費の主要目的である2つのFabry-Perot共振器をタンダムに配列した直列2連結合共振器によるEIT型分散構造と画像制御の実証に成功している。しかし、Fabry-Perot型共振器構造では、回折による画像の劣化が避けられない。平成25年度は、これをブレイクスルーする方法として、共振器構造を高密度で並列配置した構造を考える。具体的には、直径が数μm程度のファイバーを数万本の単位で並列に束ねたファイバーイメージプレートを利用し、高精度に研磨された両面に高反射率鏡をコーティングする。ファイバー長さを高精度でそろえるなど困難さも予想されるが、科研費の最終年度として試みる。 (2)画像重心を用いた画像伝播の解析 画像伝播にとって回折は画質を低下させる非常に本質的な要素である。ここでは、回折現象と超短時間パルス伝播に現れる群速度分散との数学的には類似性に着目して、画像の重心を用い、画像の伝播、回折を記述する解析を進める。このテーマは23年度に実施予定であったが、科研費の最終年度として完成させる。
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Research Products
(7 results)