2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22340121
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉岡 伸也 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (90324863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 修一 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (10112004)
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Keywords | 構造色 / ネオンテトラ / ブラインドモデル / 多層膜干渉 |
Research Abstract |
自然界にはあたかも人工物のような輝きを持つ生物が存在する。例えば身近な昆虫タマムシは、金属のように輝く緑色を持ち、樹上を高く飛んでいるときでさえ容易に見つけることができる。このような輝きのある色は、周期的な微細構造にその起源があるため、構造色と呼ばれている。構造色は古くから科学者の注目を集めてきたが、本研究では色が変化する構造色に注目して特に研究を進めている。本年度は小型の淡水熱帯魚・ネオンテトラに注目し、色が変化する物理的な仕組みを明らかにすることを目的に研究を行った。ネオンテトラの構造色は側部の青いストライプ部分(虹色素胞)に見ることができる。その色は、周囲の光量などに依存して紫や黄色へと変化する。これまでの研究結果から、虹色素胞内部のグアニン結晶板の配列の変化には二つの仕組みが提案されていた。一つは英国のLythgoeらによって提案されたもので、浸透圧を制御して色変化を誘導する実験の結果から、水が虹色素胞へ流入すること、すなわち細胞が膨張することが小板の間隔を変化させていると考えた。一方、東邦大学の大島らは、ブラインドモデルと呼ばれるモデルを考案した。それはちょうど窓にかかるブラインドのように、小板の傾き角度が変化することで、問隔が変化する仕組みである.本研究では、二つのモデルを区別するために、顕微鏡下において反射光のスペクトルと光の反射される方向を同時に測定できる装置を開発した。その装置を用いて実験を行った結果、虹色素胞は、色変化と同時に反射方向も変化することがわかった。このことは、小板の傾きが変化することを意味している。さらに、複数のモデルを可能性として考慮しながら反射スペクトルのピーク波長と反射方向の関係を詳しく解析した結果、ブラインドモデルがネオンテトラの色変化モデルとして妥当であることを定量的に結論付けた。
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