2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22340121
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉岡 伸也 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (90324863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 修一 大阪大学, 生命機能研究科, 招聘教授 (10112004)
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Keywords | 構造色 / ネオンテトラ / タマムシ / 屈折率 / 多層膜干渉 |
Research Abstract |
色変化する構造色の代表例、ネオンテトラの虹色素胞には、10μm程度の大きさを持つグアニン結晶の反射板が周期的に配列している。その光学特性を調べるためには、微小領域から反射された光の方向とスペクトルを同時に計測する測定システムが必須であり、これまでそのような顕微分光装置の開発とその改良を継続して行ってきた。本年度は、これまでの装置と比較して、(1)より広い角度範囲の観測が可能であること、(2)より微小な領域において測定を可能であること、を特徴として持つ新しい装置光学系の開発と既存の装置の改良を行った。(1)は楕円鏡を用いたスキャッタロメータと呼ばれる測定装置である。既に光学系の主要部分の構築は終了し、現在その評価を行っている。(2)に関しては、既存の顕微分光装置を元に、空間分解能を高める改良を行った。実際に、改良された装置を用いてジャイロイド型の微細構造を持つ蝶の鱗粉において光学測定を行った。鱗粉構造は複数のドメイン構造に分かれていることが知られているが、その単一ドメインで測定を実行することが可能となり、改良した装置の有効性を確認できた。また、ジャイロイド型の微細構造が示す光学特性の理論的な計算を行う数値計算プログラムを開発し、実験結果との比較を行うことを行っている。一方、角度によって色変化を起こす多層膜タイプの構造色の例・タマムシを対象として、その発色機構に関するを詳しい研究をおこなった。特に、多層膜構造を形成する二種類の材質の屈折率が未知であったため、その決定方法を新しく開発した。新しい方法では、膜に沿った超薄切片を準備することで、二種類の材質それぞれの部位で顕微分光測定を行う。そのスペクトルを定量的に開発することで屈折率を決定することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
魚類の構造色研究に関しては、測定のための装置開発が順調に進んでいる。また、ジャイロイド型の微細構造を利用した構造色に関しては、理論的な解析方法が確立しつつある。さらに、微妙な角度変化を示すタマムシにおいては、長い間謎とされてきた多層膜構造の屈折率決定に初めて成功した。以上のことから、研究はおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も魚類や昆虫などの構造色を対象に、物理的な発色機構を解明していく。そのために必要な実験装置、数値計算方法を併せて開発していく。
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