2011 Fiscal Year Annual Research Report
Lバンド合成開口レーダーによる大気と大地のイメージング
Project/Area Number |
22340123
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
橋本 学 京都大学, 防災研究所, 教授 (20293962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 昭則 京都大学, 理学研究科, 准教授 (10311739)
竹見 哲也 京都大学, 防災研究所, 准教授 (10314361)
山本 圭吾 京都大学, 防災研究所, 助教 (40283676)
福島 洋 京都大学, 防災研究所, 助教 (80432417)
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Keywords | 合成開口レーダー / 地表面変動 / 電離層 / 対流圏 / 宇宙測地 |
Research Abstract |
2011年1月までの四国地方のALOS/PALSARデータを解析し、スタッキング法を用いて、経年的な変動の検出を試みた。四国中西部(高知~広島)において、昨年までと同様に電離層擾乱の影響が大きい者を除きスタッキングした。量的にはGPSと整合的な結果が得られたが、空間分布がやや異なる。 定常時の地殻活動においては、合成開ロレーダー干渉解析における地殻変動のシグナルが電離圏と対流圏の擾乱に起因するものより小さいことが普通であるため、電離圏と対流圏の情報を抽出を主眼に置くならば、地殻変動シグナルを十分小さいと考え無視することは妥当である。しかし、N枚のレーダー画像からは、最多でN-1枚の独立したペアでしか干渉画像を計算できないため、地殻変動シグナルを無視しても電離圏と対流圏の擾乱を一意に決めることはできない。平成23年度は、最小二乗法における劣決定問題の解法として一般的に用いられる解の最小長さの拘束条件を入れ、電離圏と対流圏に起因する擾乱を推定する手法の開発をおこなった。その結果、推定誤差は用いるレーダー画像数の平方根に反比例することが理論的に導出され、この関係は予察的数値実験でも確かめられた。 桜島火山を含む南九州地域のALOS/PALSAR画像の収集を継続しInSAR解析を行った.2007年~2010年の期間における干渉解析数を増やし,スタッキングと2.5次元解析を行った結果,昨年度の結果に比べて地盤変動検出の信頼性が向上した.準上下方向の地盤変動からは,桜島北部で地盤隆起が検出され,同期間に行われた水準測量結果ともよい一致が見られた.この地盤隆起は,姶良カルデラ地下のマグマ溜りにおける増圧を反映した変動を捉えたものと考えられる.また,スタッキング前の干渉画像には局地的な大気の擾乱と考えられる地形に対応した擾乱が現れるものがあり,気象庁の客観解析データから大気の流れをシミュレーションした計算結果による大気中の水蒸気分布と良い一致が認められた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、人工衛星搭載L-バンドSARを電離層、対流圏および地表面の変動検出のためのセンサーとして捉え、これらのイメージングの高度化を目的としている。平成22~23年度において、GPSで観測される電離層の擾乱とSAR干渉画像に時として見られる大きい変動が、空間的に相関していることが明らかとなった。このことは、SARが電離層観測の手段として有効であることを示すと同時に、地表面変動の検出おいて電離層擾乱の軽減が可能であることを示す。また、桜島のような急峻な地形を有する地域において、気象数値予報モデルから推定される水蒸気分布と干渉画像中の乱れが相関していることがわかり、やはり対流圏内の水蒸気の情報を得るとともに、地表面変動検出の高精度化への道が開けた。以上、本研究は順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年5月でALOS/PALSARが運用停止となり、新たなL-バンドのSAR画像の取得が不可能となったが、これまでに蓄積されたいろいろな地域の画像を解析し、電離層や対流圏の独立な観測結果と比較検討を行うことで、当初の目的に沿った研究が進められるものと判断している。
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Research Products
(14 results)