2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22340125
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大槻 圭史 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00250910)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒川 政彦 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10222738)
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Keywords | 衛星 / リング |
Research Abstract |
巨大惑星の重力による微惑星の一時捕獲過程は,不規則衛星の起源等に関連して重要である. 本研究では,大域的軌道計算を用いて,巨大惑星による微惑星一時捕獲過程を詳細に調べた.その結果,捕獲中の軌道の形状は局所近似の場合と同様に4つに分類でき,微惑星のエネルギーと軌道離心率に依存すること,順行軌道への捕獲は惑星より内側にあった微惑星の方が起こりやすいこと,木星の順行不規則衛星の起源の一つとして,ヒルダ群小惑星領域が考えられること,等が明らかになった. 次に,土星リング中およびリング外縁付近に存在する小衛星に関して,集積可能なための小衛星核あるいは粒子の半径や密度に関する詳しい研究は行われていない.そこで本研究では三体問題軌道計算とN体シミュレーションを用いて土星リング中の小衛星核への粒子集積率を調べた.その結果,小衛星核の周囲に粒子層が形成されていない時の集積率は三体軌道計算結果から得られる集積率で記述できること,粒子層が小衛星の重力圏を埋め尽くすと集積率が減少し,粒子の集積と離脱の平衡状態に達すること,等が明らかになった. また巨大惑星の規則衛星形成に関して,ある程度大きな微惑星はガス流とは独立に運動して惑星に近づき,周惑星円盤からのガス抵抗によってエネルギーを散逸して捕獲されると考えられる. 本研究ではこの過程に着目し,周惑星円盤からのガス抵抗を考慮した三体問題軌道計算を実行して捕獲確率を求めた. その結果,アブレーションの効果を考慮しても捕獲確率には大きな変化はないが,捕獲された時の微惑星サイズはかなり小さくなること,微惑星空間分布が非一様の場合には,捕獲率は大きく減少すること,等が明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で述べたように、今年度は(1)巨大惑星による微惑星一時捕獲過程、(2)リング中での粒子集積率、(3)巨大惑星の周りのガス円盤による微惑星捕獲過程、について研究をすすめ成果を得た。これらのうち、(1)については査読付き論文に掲載許可となり、(2)(3)についても査読付き論文に投稿済みである。 これらの研究ならびにこれらをさらに発展させた研究を進めるにあたって生じた問題を解決する必要があったため研究期間を延長したが、全体的にはほぼ順調に研究が進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はリング中の粒子集積過程を詳細に調べるとともに、リング中で粒子集積が可能な領域を明らかにする。また、巨大惑星の周りのガス円盤に捕獲された微惑星の軌道進化を明らかにする。これらをもとに、巨大惑星の衛星リング系の起源進化について解明を進める。
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Research Products
(14 results)