2011 Fiscal Year Annual Research Report
過去4千万年間の古地磁気強度変動:地磁気逆転頻度と地磁気強度の関係の解明
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22340129
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
山崎 俊嗣 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 研究グループ長 (80344125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 裕二 高知大学, 海洋コア総合研究センター, 助教 (00452699)
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Keywords | 古地磁気強度 / 岩石磁気 / IODP / 古海洋 / 熱帯収束帯 / 地磁気逆転 / 東部赤道太平洋 |
Research Abstract |
昨年度に測定を行ったSite U1331,U1332の自然残留磁化(NRM),人工磁化着磁(非理歴性残留磁化ARM,等温残留磁化IRM)及びこれらの段階交流消磁データについて、磁力計のセンサー感度曲線データを用いてデコンボリューション処理を行った。その結果に対して主成分解析により残留磁化方位を求め、高分解能の古地磁気変動データを得た。得られた相対古地磁気強度変動記録に、堆積物の岩相(磁気特性)変化の影響が混入している可能性を評価するため、詳細な磁気特性評価を行った。具体的には、Site 1331のコアについて、IRM獲得曲線測定とその成分解析、FORC図を用いた磁性鉱物間の磁気相互作用の評価、低温磁気特性測定による磁性鉱物の推定等を行った。その結果、この堆積物の磁性鉱物は陸源マグヘマイトと生物源マグネタイトの2成分からなり、その量比の変動をARM/IRM比を用いて推定できること、そしてその変動が相対古地磁気強度推定に影響していることが判明した。さらに、堆積速度と相対古地磁気強度曲線が、見かけ上相関していることも確認された。これらのことは、堆積物からロングレンジの地球磁場強度変動を求める際の障害となる。しかし、ARM/IRM比の変動が小さい年代区間については、相対古地磁気強度の推定は可能と考えられ、実際にサイト間で整合的な結果が得られた。 上記の堆積物の磁気特性検討の副産物として、陸源/生物源磁性鉱物量比の変動等から、現在は北緯4度-11度付近に位置している東部赤道太平洋における熱帯収束帯の位置が、約25万年前以前はより南に位置していたという古海洋学的成果も得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
古地磁気測定は概ね当初の予定どおり進捗している。「研究実績の概要」に述べたように、堆積物の磁気特性測定から、ロングレンジの地球磁場強度変動を求める際の問題点がはっきりした。このことは、当初に狙った、地磁気逆転頻度と地磁気強度の関係の解明の達成が容易でないことを意味するが、一方では、過去の熱帯収束帯の位置の変化という、当初想定しなかった古海洋学への応用面で重要な成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に行ったSite U1331コア試料の各種岩石磁気測定・解析から、この堆積物の磁性鉱物は陸源と生物源の2成分からなり、この量比の変化が相対古地磁気強度に影響していることが判明した。さらに、堆積速度と相対古地磁気強度曲線が、見かけ上相関していることも確認された。これらのことは、堆積物からロングレンジの地球磁場強度変動を求める際の障害となる。今年度は、Site U1332の試料についても同様の測定・解析を行い、この海域の堆積物で普遍的におきている現象であるかどうかを確かめ、さらに他の海域の堆積物についても同様の検討を行い、この影響をより定量的に評価できるようにする。また、堆積物の磁気的組成を詳しく評価した上で、均質とみなせる年代区間に区切って、Site U1331,U1332,U1333の結果を統合した相対古地磁気強度曲線を完成させる。研究の最終年度に当たり、成果のとりまとめを行う。
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Research Products
(7 results)