2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22340131
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
小野 重明 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部ダイナミクス領域, 主任研究員 (20313116)
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Keywords | 量子力学計算 / 高温高圧実験 / 鉄 |
Research Abstract |
地球外核は、その大部分が金属鉄の溶融体であるが、化学組成は純粋な鉄でなく、軽い密度の元素が溶融していると考えられている。この軽い元素の正体を、スーパーコンピュータを用いた量子力学計算と、ダイヤモンドアンビルセル高温高圧実験との二つの異なる手法を有機的に結びつけて、外核候補物質の密度および地震波速度を精密に決定する。研究結果から、ある化学組成に対応した密度と地震波速度データを見積もることができるので、観測されている外核の密度および地震波速度を比較し、外核の化学組成の解明を試みることを目指している。初年度は、研究で用いる第一原理計算の信頼性を上げるため、室内実験との比較を行った。まず、室内実験のための実験機器の立ち上げを行った。高温高圧条件下で液体の状態分析を行うため、特殊なラマン分光システムを作製した。特に、紫外線を励起光源としたことにより、従来のラマン分光装置よりも高温条件で精度の高いデータの取得が可能になった。その装置を用い、金属メルトの分析を行い、メルトの構造に対応するラマン光の波数データを測定した。そして、分析された金属メルトの構造を、量子力学計算で、どの程度再現することが可能であるかをチェックした。その結果、構造変化の圧力依存性と温度依存性について、実験データとの差異が確認された。そのため、量子力学計算の計算精度を高めるために、計算コードで使用している近似法の再検討を行うことが必要であり、次年度以降は、改良した量子力学計算手法を用いて、金属メルトの物性変化を見積もる予定である。
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