Research Abstract |
黒潮本流は,非大蛇行流路を取る場合,伊豆諸島付近で概ね三宅島・八丈島付近の間を横切り,この付近に明瞭な水温前線を形成する.この水温前線を跨ぐ大気の鉛直構造を調べるために,本研究では伊豆諸島の大島,利島,三宅島,御蔵島,八丈島,青ヶ島を結ぶ定期ヘリコプター便(東京愛らんどシャトル)の機体に気温,湿度,気圧計を搭載し,ヘリコプターの離陸・着陸時の上昇・下降を利用した大気下層の鉛直モニタリングシステムを開発した.今年度は,前年度に取得した現場観測データを飛行ログと参照させ,日時別・地点別の鉛直プロファイルデータに変換する作業を行った.この結果,2010年12月25日~4月6日のうち,約80日間については正常な観測結果を得たことを確認した.さらに,2011年3月に行った八丈島でのラジオゾンデ観測との比較を通して,モニタリングシステムによる観測結果の妥当性を検証し,気温については,機体の移動速度に伴う動圧のための系統誤差が見られることがわかった.これらの結果は,北海道大学低温科学研究所技術部技術報告第17号にまとめ,技術報告会で成果の発表を行った.また,気象海洋分野の観測技術に関する学術論文への投稿準備を進めている.本年度の観測については,観測の協力をお願いしている航空会社が東日本大震災の影響を強く受けたので,観測の実施を控えた.この間,航空会社との協議しながら,モニタリングシステムの安全性・安定性・軽量化について,改良・改善を進め,2012年4月中旬から観測を再開する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モニタリングシステムの開発は順調に進展しているが,航空機へ搭載作業が東日本大震災の影響のため,2011年度の観測はできなかった.2012年度4月中には再開の見込みであり,計画期間全体としては,大きな影響はない.
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