2011 Fiscal Year Annual Research Report
降水雲上部における氷晶粒子の成長過程と粒径分布の観測とモデル化
Project/Area Number |
22340136
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
坪木 和久 名古屋大学, 地球水循環研究センター, 准教授 (90222140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 博 名古屋大学, 地球水循環研究センター, 教授 (80184935)
篠田 太郎 名古屋大学, 地球水循環研究センター, 助教 (50335022)
大東 忠保 名古屋大学, 地球水循環研究センター, 助教 (80464155)
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Keywords | 氷晶粒子 / 雲粒子観測 / HYVIS / MPレーダ / 雲解像モデル / CReSS / 雲粒子ゾンデ / 降雪システム |
Research Abstract |
1.雲粒子ゾンデの解析 厳冬期の北海道東部の内陸部で発生した降雪雲に対して放球した雲粒子ゾンデHYVISの観測した雲粒子画像を解析した。顕微鏡画像で観測された氷晶粒子を針状、板状、鼓状、その他の不明に分類し、高度毎の粒子の分布を明らかにした。このような粒子判別を自動的に行うための画像解析の方法を検討した。 II.MPレーダの解析 厳冬期の北海道東部の内陸部で昨年度実施した特別観測期間に、2台のマルチパラメータレーダーで観測された降雪システムについて、力学的構造と雲物理学的構造を調べた。なかでも特に4時間にわたって持続した降雪システムの詳細な解析を行った。2台のドップラー観測から、降雪システムの気流場を解析した。この降雪システムはエコー頂が3km程度で、高層観測から得られた湿度プロファイルに見られた高度3km付近の顕著な湿度の減少と対応していた。この高度より下はほぼ北風で、下層の弱い収束が降雪システムの前部と後部に見られた。この収束に対応して、降雪システムとしては非常に弱い上昇流(1ms^<-1>以下)が前部と後部に形成され、それによって降雪粒子が形成されていた。偏波パラメータの解析から、降雪システム内にはあられが存在しないことが示された。これは弱い上昇流と対応している。粒子情報に関するMPレーダパラメータから、上空では氷晶があり、下層では雪片が存在した。この降雪システムについて、雲解像モデルCReSSを用いてシミュレーションを行い、降雪システムの環境場を解析した。その結果、オホーツク海からの弱い北風内に降雪システムが形成されたことを裏付けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
雲粒子ゾンデHYVISで得られる雲粒子の画像解析の方法を開発するにあたって、鮮明でない画像や、粒子を付着させるためのシリコンオイルのにじみや筋をどのように除去するかが問題である。また、解像度の限界にある粒子の判別が難しく、自動的に画像解析を行うことの障害となっている。これらの問題を解決する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
雲粒子の画像解析については、鮮明でノイズの少ないものについて、ある程度の自動判別を行い、これまで行ってきたように人の目での解析を組み合わせることで最終的な判別とすることを検討する。 雲粒子ゾンデHYVISの解析については、粒子の粒径分布を調べるのは限定的にして、粒子の種類の分布に重点をおいて解析する。 シミュレーションについては、より高解像度の実験を行い、その結果で粒子分布を観測と比較することに重点を置いて解析を行う。
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Research Products
(4 results)