2013 Fiscal Year Annual Research Report
極域電離圏プラズマメソスケール密度構造のカスケード過程の解明
Project/Area Number |
22340143
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
田口 聡 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (80251718)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 泰信 国立極地研究所, 教育研究系, 准教授 (00362210)
細川 敬祐 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (80361830)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 電離圏 / 極域 / プラズマ / 大気光 / オーロラ / 電子密度 / リコネクション |
Research Abstract |
プラズマの大きな密度構造が次第に小さな姿へと形を変えていくカスケードは,電離圏のみならず広く宇宙空間に存在するプラズマの動態にかかわる過程である.観測装置の制約のために,電離圏でのカスケード過程の実証は不十分で,その詳細が依然謎のままである.本研究では,電子増倍機能を有する次世代の高感度デジタルCCDカメラをノルウェーのスバールバル諸島ロングイヤビェンに配置し,メソスケール密度構造のカスケード過程を明らかにすることを目的としている. 本年度はまず,カスケード過程の生成にとって重要であると考えられる50km-100kmスケールの電子密度分布の波状構造が,約5分の時間スケールの線形成長率もつことを明らかにした.これは,波状構造が密度勾配型不安定性によって作られていることを強く示唆している.また,このような波状構造は,流れる高密度領域の後方で顕著となる.次に,磁気嵐の際,高密度領域の発光層の高度プロファイルがどのように静穏時と異なるのかについて,その特性を明らかにした.高密度領域の水平方向の構造については,流れにほぼ垂直となる朝夕方向のスケールが極端に大きい現象が見出された.さらに,カスケード過程に間接的にかかわってくる移動するメソスケールオーロラについて,それに伴うイオン温度上昇の3次元構造を明らかにした.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年間の取得データに基づいて,期待通りの結果を複数の論文としてまとめることができた.また,まもなく論文にできる結果も多く得ている.現地の装置は極めて安定しており,3年目のシーズンのデータも十分蓄積することができた.ほぼ計画通り進んでいる.
|
Strategy for Future Research Activity |
これまで,多くの貴重なデータを取得し,また,観測サイトの近くにあるレーダーとの同時観測も実施して,主に事例研究として結果を報告してきている.今後は,複数のケースに基づいて,より一般的な結果へと展開させる必要がある.次年度が計画の最終年度であるが,研究が順調であるため,科研費の支援終了後も観測を継続する予定をしている.その維持のための見通しはたっているが,さらに検討をしていく必要がある.
|