2011 Fiscal Year Annual Research Report
放射性炭素測定による過去の太陽活動の周期性及び地球環境との関係の解明
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22340144
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
増田 公明 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 准教授 (40173744)
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Keywords | 太陽物理学 / 地球変動予測 / 宇宙線 / 放射性炭素 / 加速器質量分析計 |
Research Abstract |
本研究は,加速器質量分析計を用いた放射性炭素濃度の測定により,過去三千年の太陽活動の周期性,特に11年/22年周期のシュワーベ/ヘール・サイクルの変遷を解明するとともに,地球環境に影響する要因を探ることを目的としている。平成23年度は西暦7-11世紀についての測定を行った。基本的には1年おきに年輪中の放射性炭素濃度を2回ずつ測定して測定精度を上げるとともに,必要に応じて1年ごとの測定を行って時間分解能の向上を図った。データは西暦600年から1000年までのこれまで未測定の部分について行った。得られたデータのフーリエ周期解析を行ったところ,約11年と14年に有意な周期成分が得られた。そこで時間分解周期解析(ウェーブレット解析)を行ったところ,年代の連続した周波数成分ははっきりとは現れなかったが,西暦630~700年に13-14年の周期が確認された。この年代は放射性炭素濃度がやや高くダ太陽活動極小期と見られる時期であり,従来の我々の成果によるマウンダー極小期やBC4世紀極小期における周期長の伸びと同様の現象である。この結果により,太陽活動周期と太陽活動度の間に相関関係が存在することがほぼ確実であり,太陽活動のメカニズム解明の鍵となるデータである。 この測定年代中の西暦774年から775年にかけて,放射性炭素濃度が急激に増加する現象が見られた。これは何らかの地球外高エネルギー現象による宇宙線の増加が原因と考えられ,非常に重要な発見である。この事象に関する歴史上の記録や宇宙線による地球環境への影響などは報告されておらず,原因解明が今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
目的に掲げた当該年代の周期解析に加え,地球外高エネルギー現象の発見があったため,当初の計画以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
過去三千年間で最も大きい太陽活動極小期と思われるBC8世紀極小期に関して,放射性炭素濃度を測定し,周期解析をすることにより,太陽活動度とシュワーベサイクル周期の関係を確立する。 西暦775年に発見された地球外高エネルギー現象の原因と地球環境への影響の特定を試みる。特に過去の気候変動や歴史記録の検索を行う。
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